武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

映画

 『アバター』印象記 ジェームズ・キャメロン監督・脚本

3D映画として評判の昨年暮れの正月映画「アバター」を、遅ればせながらやっと見てきた。シニア料金になっても1500円と高かったが、DVDでは3D鑑賞は出来ないので、久しぶりの映画館行きとなった。3Dの映像効果はさすがで、その高度な技術と派手なCG造りにお…

 『つみきのいえ』 加藤久仁生監督・アニメーション 平田研也脚本 近藤研二音楽

短編アニメ映画、「つみきのいえ」を見た。僅か10分前後の短い時間枠のなかに、気の遠くなるような手作業を累積し物語の緻密な演出を詰め込んだ表現世界は、長編小説に対して短編小説があるように、<短編アニメーション映画>という確立された表現ジャンル…

 『岸辺のふたり』 監督マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィッド (制作2000年) 原題 FATHER AND DAUGHTER

新聞などで評判になっていたので見たいと思っていたのだが、機会に恵まれなくてそのまま忘れてしまっていた。ネットで遊んでいて、ふとしたきっかけでYouTubeで見られることが分かり、楽しく見させて貰った。印象に残ったことを記してみよう。 ①<8分間の永…

 『中国の植物学者の娘たち』 監督/脚本:ダイ・シージエ (2005年カナダ/フランス映画)

90年代の中国を舞台に、若い女性二人の同性愛を主題にした耽美的な悲劇の恋愛ドラマ、背後に流れる音楽と、ドラマの舞台となる湖に浮かぶ孤島の蒸せるような南国的な美しさに、思わず画面に引き込まれてしまった。映像と音楽と見終わった後の悲哀に満ちた…

 『4分間のピアニスト』 クリス・クラウス監督 (モニカ・ブライプトロイ、ハンナー・ヘルツシュプルング主演、スヴェン・ピッピッヒ助演) 2006年ドイツ映画

最近見た映画の中で、久しぶりにお話の展開に引き込まれて、最後まで時間の経過を忘れて見入ってしまった映画があるので、紹介したい。 お話の柱になっているのは、80歳をこえる老ピアノ教師と、殺人の罪で収容されているピアノの才能を秘めた手が付けられな…

 『ユーリ・ノルシュテイン作品集』 ユーリ・ノルシュテイン制作・監督 (DVD販売元:ジェネオン・ エンタテインメント)

ユーリ・ノルシュテインとい名のロシアのアニメ作家をご存知だろうか。抒情的で幻想的な映像作品が素晴らしい独創的なクリエイター。私は不覚にもつい最近まで、この名を全く知らなかった。図書館で借りた「世界と日本のアニメーションベスト150」という…

 『サン・ジャックへの道』監督:コリーヌ・セロー (05年フランス映画)

スペインを旅行したことのある方ならご存知だろうが、この映画はフランスから「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」をたどる由緒正しいロードムービー、ロードムービという範疇に分類される映画は少なくないが、この映画はその中でもひときわ燦然と…

 『たそがれ(いくつになっても男と女)』07年日本映画監督:いまおかしんじ/脚本:谷口晃

成人映画の配給ルートを対象にして制作された映画が、評判をよび一般公開されるようになったという曰く付きの15歳以下鑑賞制限付きの、やはり分類するとしたら成人向け映画だが、評判通りのなかなかの名作。最近、老人問題をテーマにした映画が多いが、この…

『バート・マンロー/スピードの神に恋した男』ジョージ・ベッグ著 中俣真知子/ 池谷 代/岡山徹(翻訳) (発行ランダムハウス講談社) 『世界最速のインディアン』監督: ロジャー・ドナルドソン/出演: アンソニー・ホプキンス

最初に見たのは、映画だった。名優アンソニー・ホプキンスが演じたスピード狂のオートバイ乗りが何とも洒脱でかっこよくて、すっかり映画に魅了された。スピード世界記録をテーマにするだけあって、映画のスピード表現が見事。恐ろしいほどのスピード感が伝…

 『太陽のかけら』[原題]KUNGSLEDEN スウェーデン映画 1965年東和配給

ふとしたきっかけから、古い映画を思い出した。どこの映画館で見たのか思い出せない。このころちょうど太陽の何々という邦題の洋画が、盛んに上映され、それなりに観客を動員していた時代だった。アメリカ映画に見飽きた洋画好きに、イタリアやフランスの映…

 『善き人のためのソナタ』 (2006年ドイツ映画) 監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク 出演:ウルリッヒ・ミューエ、マルティナ・ゲデック、セバスチャン・コッホ、ウルリッヒ・トゥクール、トーマス・ティーメ

12月5日WOWOW放送の『善き人のためのソナタ』という映画をテレビで見た。主演ウルリッヒ・ミューエの押さえた渋い演技、巧妙に組み立てられた見事な脚本、美しい画像、沁みいるような音楽、久々に見た大人をほろりとさせる素晴らしい映画だった。 主演のウル…

 『ブロークン・トレイル 遥かなる旅路』 ウォルター・ヒル監督(WAWAWまたはDVD)

壮大なウエスタン・ロードムービー、と言う宣伝文句に引かれて、チャンネルを合わせたら、余りにも素晴らしい北米の山野の自然描写に引かれて約3時間、たっぷりとした情感豊かな汗臭いドラマですっかり楽しませてもらった。 オレゴン州からワイオミング州ま…

 『GOAL!①』DVDまたはWAWAW8月配信

国際サッカー連盟が製作を公認した映画、と聞いただけで、見たい気にならず、ずっと見送ってきた映画だった。それが、昨晩、ふとした気まぐれからWAWAWの配信を見始めたら、引き込まれてついに最後まで見てしまった。2005年公開の古い映画だが、3部作の…

 《うつくしい人生(フランス映画)印象記》

フランソワ・デュペイロン監督の「うつくしい人生」という映画を、ハイビジョンTVで見た。2時間近い上映時間だったが、起伏に富んだドラマもなく、目を瞠るアクションシーンもなく、ドキドキするラヴシーンもなし、それなのに2時間近く画面に引き付けられ…

 『ホワイト・プラネット』 カナダ・フランス合作映画 (監督: ティエリー・ラゴベール, ティエリー・ピアンタニダ)

北極圏に生息する野生動物の生態を捉えたドキュメンタリー、どうやって撮影したのか想像できないようなアングルからの映像が、次々と出てきて眼を奪われた。82分という最近の長時間化する傾向の映画の中で、これで十分と、見るものを満足させ納得させる作…

 『グエルム−漢江の怪物』 ポン・ジュノ監督 

連日の雨降りで遠出もままならず、急に思い立ってシニア料金で、今評判の韓国製の怪獣映画を見ることにした。ネットの映画評では、好評と不評が混ざっていてよく分からない。自分で見て自分で感じてみようとでかけた。結論から先に言えば、全く退屈すること…

 映画・ダヴィンチ・コードの印象記

先日、ダヴィンチ・コードの映画を見に行った。開始時間の10分ほど前に映画館についたら、30人ほどの行列が出来ていたのに、吃驚。評判になっているような映画を余り見たことがないので、本当に吃驚した。 見た印象は、1000万部売れたという原作を何…

 「蝶の舌」評判になったスペイン映画(ホセ・ルイス・クエルダ監督1999年作品)

見終わってしばらくじっとしていた。動くとこの映画の余韻が新緑の葉っぱに乗った朝露のようにポロリと零れてしまいそうな気がして動く気がしなかった。じっと座ったままいろんなことを考えた。考えたことが少しまとまりかけてきたので感想を書いてみよう。 …