ロバート・D・レヴィン演奏の『平均律クラヴィーア曲集』が愉しい

J.S. バッハの平均律クラヴィーア曲集がお気に入りで、随分といろいろな演奏を聴いて愉しんできた。一体どれだけのＣＤが出ているのだろう。気になってAmazonで検索してみたら、何と、
・リヒテル(スヴャトスラフ)
・グールド(グレン)
・ポリーニ(マウリツィオ)
・キース・ジャレット
・シフ(アンドラーシュ)
・アシュケナージ(ヴラディーミル)
・レオンハルト(グスタフ)
・コープマン(トン)
・ニコラーエワ(タチアナ)
・曽根麻矢子
・ホルショフスキー(ミエチスラフ)
・エル=バシャ(アブデル・ラーマン)
・アファナシエフ(ヴァレリー)
・ピヒト=アクセンフェルト(エディット)
・フィッシャー（エドウィン）
・ケンプ(ヴィルヘルム)
・ヴァルハ(ヘルムート)
・ヤンドー(イエネ)
・ワンダ・ランドフスカ
・シュタットフェルト(マルティン)
・ピヒト=アクセンフェルト(エディット)
・野平一郎
・エフゲニー・ザラフィアンツ
・フェルナー(ティル)
・カークパトリック(ラルフ)
・小林功
・大森智子
・ヤンドー
・アファナシエフ(ヴァレリー)
・カール=アンドレアス・コリー
・ゴヴェール
・鈴木雅明
・グルダ(フリードリヒ)
・バレンボイム(ダニエル)
・園田高弘
・ギーゼキング(ヴァルター)
・ヴァルヒャ(ヘルムート)
・ピシュナー(ハンス)
・デームス(イエルク)
・テューレック(ロザリン)
・ロス(スコット)
・ドレフュス(ユゲット)
・コルゼンパ(ダニエル)
ざっと40数種類、今でも直ぐ手に入りそうなCDがずらり、数えてみたら聴いたことがあるものが十指にも満たない、情けない。とてもお気に入りなどと、言えたものではないことが判明した。
さて、そんな実情であることも顧みず、大胆に今回紹介するのは、ロバート・レヴィン演奏の平均律曲集、何に驚いたかというと、これまでピアノ演奏のもの、チェンバロ演奏のもの、ジャズ風にアレンジしたものなど、いろいろ聴いたことはあったが、曲に合わせて、チェンバロ、クラヴィコード、オルガン、ピアノと4種類の鍵盤楽器を取っ替え引っ替え、交代して、変化に富む曲集を、さらに変幻自在に演奏してみせてくれたこと、これには正直吃驚した。
それぞれの楽器に専門の奏者がいるほどだから、演奏技術から表現の特性まで、かなりの違いがあると思うが、どの楽器の演奏を聴いても実に自在、熟慮を重ねた結果の楽器選択だったのだろうと、響きの美しさに聴覚をゆだねながら、曲が変わり、楽器が変わる度に、その変化の妙を愉しんでいる。
以前、この曲集を聴いていたとき、何となくオルガンで弾いたらどんなだろうかと想像したことはあったが、これほど多彩にやってくれるとは、夢が実現してこんなに嬉しいことはない、クラヴィコードの残響が僅かしかない演奏もなかなか面白い。これほど退屈する暇のない平均律は珍しい。オルガンとの相性が抜群なのも予想通りで何となく嬉しい。こういう鍵盤楽器マルチプレーヤーは大歓迎である。
CDは国内販売されていないようだが、Naxos Japanのサイトで試聴と全曲ダウンロード出来るので、興味のある方は是非どうぞ。
どの曲を何で演奏しているか、参考までにCDの曲目を引用しておこう。

第1巻(BWV846‐BWV869)
CD1
1.BWV846 前奏曲 - 4声のフーガ 　ハ長調（チェンバロ）
2.BWV847 前奏曲 - 3声のフーガ 　ハ短調（チェンバロ）
3.BWV848 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ハ長調（クラヴィコード）
4.BWV849 前奏曲 - 5声のフーガ 嬰ハ短調（オルガン）
5.BWV850 前奏曲 - 4声のフーガ 　ニ長調（チェンバロ）
6.BWV851 前奏曲 - 3声のフーガ 　ニ短調（クラヴィコード）
7.BWV852 前奏曲 - 3声のフーガ 変ホ長調（オルガン）
8.BWV853 前奏曲 - 3声のフーガ 変ホ短調（クラヴィコード）
9.BWV854 前奏曲 - 3声のフーガ 　ホ長調（チェンバロ）
10.BWV855 前奏曲 - 2声のフーガ 　ホ短調（チェンバロ）
11.BWV856 前奏曲 - 3声のフーガ 　ヘ長調（クラヴィコード）
12.BWV857 前奏曲 - 4声のフーガ 　ヘ短調（オルガン）
CD2
13.BWV858 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ヘ長調（クラヴィコード）
14.BWV859 前奏曲 - 4声のフーガ 嬰ヘ短調（チェンバロ）
15.BWV860 前奏曲 - 3声のフーガ 　ト長調（チェンバロ）
16.BWV861 前奏曲 - 4声のフーガ 　ト短調（チェンバロ）
17.BWV862 前奏曲 - 4声のフーガ 変イ長調（クラヴィコード）
18.BWV863 前奏曲 - 4声のフーガ 嬰ト短調（チェンバロ）
19.BWV864 前奏曲 - 3声のフーガ 　イ長調（チェンバロ）
20.BWV865 前奏曲 - 4声のフーガ 　イ短調（オルガン）
21.BWV866 前奏曲 - 3声のフーガ 変ロ長調（チェンバロ）
22.BWV867 前奏曲 - 5声のフーガ 変ロ短調（オルガン）
23.BWV868 前奏曲 - 4声のフーガ 　ロ長調（チェンバロ）
24.BWV869 前奏曲 - 4声のフーガ 　ロ短調（チェンバロ）
第2巻(BWV870‐BWV893)
CD1
1.BWV870 前奏曲 - 3声のフーガ 　ハ長調（オルガン）
2.BWV871 前奏曲 - 4声のフーガ 　ハ短調（チェンバロ）
3.BWV872 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ハ長調（クラヴィコード）
4.BWV873 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ハ短調（ピアノ）
5.BWV874 前奏曲 - 4声のフーガ 　ニ長調（オルガン）
6.BWV875 前奏曲 - 3声のフーガ 　ニ短調（ピアノ）
7.BWV876 前奏曲 - 4声のフーガ 変ホ長調（オルガン）
8.BWV877 前奏曲 - 4声のフーガ 嬰ニ短調（チェンバロ）
9.BWV878 前奏曲 - 4声のフーガ 　ホ長調（オルガン）
10.BWV879 前奏曲 - 3声のフーガ 　ホ短調（ピアノ）
11.BWV880 前奏曲 - 3声のフーガ 　ヘ長調（クラヴィコード）
12.BWV881 前奏曲 - 3声のフーガ 　ヘ短調（ピアノ）
CD2
13.BWV882 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ヘ長調（チェンバロ）
14.BWV883 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ヘ短調（クラヴィコード）
15.BWV884 前奏曲 - 3声のフーガ 　ト長調（チェンバロ）
16.BWV885 前奏曲 - 4声のフーガ 　ト短調（チェンバロ）
17.BWV886 前奏曲 - 4声のフーガ 変イ長調（ピアノ）
18.BWV887 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ト短調（チェンバロ）
19.BWV888 前奏曲 - 3声のフーガ 　イ長調（クラヴィコード）
20.BWV889 前奏曲 - 3声のフーガ 　イ短調（ピアノ）
21.BWV890 前奏曲 - 3声のフーガ 変ロ長調（チェンバロ）
22.BWV891 前奏曲 - 4声のフーガ 変ロ短調（オルガン）
23.BWV892 前奏曲 - 4声のフーガ 　ロ長調（チェンバロ）
24.BWV893 前奏曲 - 3声のフーガ 　ロ短調（チェンバロ）