武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

福島第1原発で起きていることを正しく理解するために(6)

福島第1原発事故を終熄させる見通しが見えてこないまま、大気、土壌、海域への放射性物質死の灰)による環境汚染は、ひたすら拡大の一途を辿っている。だが、ほとんどのメディアは危機感の表出を抑制し、あたかも重大な危機が遠のいたかのような偽りの日常に回帰しつつあるように見える。独自の問題意識と取材力を今こそ発揮すべき真っ当な報道機関は、一体どこで何をしているのだろうか。
岩波書店が発行する雑誌「世界」の2011年1月号は、「原子力復興という危険な夢」という特集を組み、最近の原子力容認から、原子力便乗へと方向を転じつつあったこの国と西欧の危険な動向を報告していたが、現在、その内容の一部を無料公開していて、とても参考になる。
原発問題をある程度広い視野の中で考えるための資料としてお勧めしたいのでご紹介したい。見るべきところをきちんと見据えていた人が少なからずいると言うことは、どんな時でも慰めとなる。
以下は、この度岩波書店が無料公開したPDF資料(4本)。
・【経済の視点から】原子力のたそがれ──米・仏・独のエネルギー政策分析から浮かび上がる再生可能エネルギーの優位性《マイケル・シュナイダー (マイケル・シュナイダー・コンサルティング代表)、訳=田窪雅文 (「核情報」主宰)》
http://www.iwanami.co.jp/sekai/2011/01/pdf/skm1101-1.pdf
・【ハイリスク ノーリターン?】原発輸出──これだけのリスク《明石昇二郎 (ルポライター)》
http://www.iwanami.co.jp/sekai/2011/01/pdf/skm1101-2.pdf
・【ルポ】原発頼みは一炊の夢か──福島県双葉町が陥った財政難《葉上太郎 (地方自治ジャーナリスト)》
http://www.iwanami.co.jp/sekai/2011/01/pdf/skm1101-3.pdf
同号の原子力特集の目次は以下の通り。

特集 原子力復興という危険な夢
[経済の視点から]原子力のたそがれ―マイケル・シュナイダー/田窪雅文
[原発輸出論議暴走の背景]新政権の環境エネルギー政策はなぜ逆噴射したか―飯田哲也
[ハイリスク ノーリターン?]原発輸出・これだけのリスク―明石昇二郎
[ルポ]岐路に立つ日本の原子力外交・インドとの協定交渉の舞台裏―黒川朋子
[変革の芽]政権を揺さぶるドイツ反原発運動・脱原発への歩みは止まらない―梶村太一郎
[自治にとって原発とは]原発依存からどう脱却するか・自立したまりづくりを考える―伊藤久雄
[ルポ]原発頼みは一炊の夢か・福島県双葉町が陥った財政難―葉上太郎
[地震原発]蘭嶼島・津波の島に蓄積される核廃棄物―中生勝美

・「迫り来る大地震活動期は未曾有の国難である」《石橋克彦氏が2005年衆議院予算委員会公聴会で話した内容》
http://www.stop-hamaoka.com/koe/ishibashi050223.html