武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 福島第1原発で起きていることを正しく理解するために(9)


福島第1原発では、発熱する燃料棒を冷却するため延々と大量の放水が続いている。本来なら環境から遮断された循環システムの内部で完結するはずの冷却が、外部からの海水や真水の放水、注水により緊急避難的に行われているのである。このような綱渡り的な現状から、危惧される環境汚染は4つある。
汚染水が海に流れ出る海洋汚染、土壌に染みこむ土壌汚染、土壌を通過しておきる地下水汚染、蒸発にともなう大気への発散、大気汚染。
海水への眼に見える放出が止まったので、その後、冷却に使った汚染水はどこへゆくか、それが心配でならない。原発の地下ってどうなっているのだろうか。
調べてみたら、三月末にロイターが地下水汚染の恐れがあるというニュースを発信していた。
福島原発事故、周辺の地下水や海「著しい汚染」の恐れ=科学者団体(2011年03月29日ロイター)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20310620110329
4月になって、地下水汚染の実態も報道されていた。
福島第一原発 地下水も汚染(2011年4月1日東京新聞朝刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011040102000052.html
しかしながら、その後、地下水汚染の情報はほとんど流れてこない。地下水の挙動は非常に遅く、チェルノブイリのデータでも30km圏内にとどまると言う話もある。土壌の濾過能力がいかに素晴らしいかと言うことだろうか。福島の場合30kmの半分は海底、何と広大な範囲だろう。
地下水汚染をいち早く指摘していた<憂慮する科学者同盟UCS; UnionofConcernedScientists>についても検索してみた。
はてなキーワード>には、以下のような解説があった。
「UCSは、10万人以上の市民と科学者から成る国際的な非営利団体である。1969年に設立され、より清潔で、より健康的な環境と、より安全な世界を築き上げるために科学的な活動を行っている。活動の対象は、環境、原発、遺伝子操作、軍事機密まで幅広い分野に及んでいる。
科学的な分析と情報公開を中心としているので、環境保護団体などのありがちが過激なパフォーマンスは見られない。しかし、軍事衛星(日本では情報収集衛星と呼ぶ)の軌道要素を公開するなど、情報公開それ自体が国家にダメージを与えるケースが出てきている。」
以下のURLで福島原発関連の情報も発信しているのでアクセスしてみて欲しい。非営利の第三者的研究機関の有り難さが今回の事故でよく分かった。やっぱり紐付きはダメ。
http://www.ucsusa.org/


<追伸>この記事をアップしてから、以下のような地下水汚染の報道を見つけた。
福島第1原発:地下水汚染7日間で10倍 1・2号機(毎日新聞 4月15日)
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110415k0000e040028000c.html
原発敷地内の地下水だけでなく、広範囲の地下水観察井戸(きっと各地にあるはず)からサンプリングして調査してみる必要がある。