武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 【電力自立】ロビンソンの夢(4)

《マンションのベランダとソーラーパネル
 太陽光発電システムについてネットで調べていたら、マンションのベランダにソーラーパネルを設置したくて苦慮されている方が多いことが分かった。マンションにはそれぞれに管理規約や使用細則が決められており、バルコニーやベランダの使い方には決まりやルールがあり、本格的な太陽光発電はまず不可能に近い。
 マンションの建物には大きくわけて、共有部分専有部分専用部分の区別がある。ベランダやバルコニーは共有部分の専用部分であり、ほとんどのマンションでは、管理規約や使用細則で使い方が細かく制限されている。ルールに違反して裁判で争われたケースを見ると、規約に定めがある場合には居住者が規約をひっくり返して勝訴したケースはほとんどない。
 と言うことは、マンションのベランダで太陽光発電をやる場合には、住んでいるマンションの規約の範囲内で試みるしかないということである。そんな面倒なことなら最初からあきらめるか、それとも規約の範囲内で何とか工夫して、他の居住者の反感を買わないようにやってみるかどちらかしかない。勿論、私は後者の方。
 調べてみたら、ベランダでの設置をあきらめて、室内の窓ガラスならベランダ外の専用部分なので問題ないとして、効率の悪い室内に設置している方をネットで見かけた。それでも窓ガラスは共有部分なので、著しくマンションの景観を損ねるようならそれでも問題になりかねないのである。
 勿論、ベランダの柵の外側など問題外である。万が一の落下の危険性もあり、ガッチリ固定すれば禁止事項であるベランダの構築物になるので、マンションの管理組合から撤去を求められるのは必至。
 それでは、ベランダの中ならどうか。縛りは、規約と細則と消防法、大きな鉢植えすら違反行為となるケースもあるので、大きながっちりしたスタンド設置などは難しい。せいぜいで50W〜100W程度のソーラーパネルが限界でなかろうか。
 ネット上で見た例としては、陽のあたる床にカーペットのように敷いたケースを拝見した。勿論、床に接着するのは御法度、広い面積を取るのも避難を妨げるとして、消防から注意がくるかもしれない。それでも大修繕工事で床の再塗装の折りに撤去できるなら可能性はある。
 そうなるとほとんど不可能に近いが、智恵を絞り、前回(ロビンソンの夢(1))で紹介したアングルに取り付けた床置きスタンドを改善して、今回は、ベランダの柵に架けるようにしてみた。
 工作としては、近所のDIYコーナーでビニルワイヤ8m(498円)と小さいワイヤーグリップ4個(計312円)を買い、ベランダのアルミ柵の手摺りに跨がせて、2本のビニルワイヤをセットしてみたのである。アングルのスタンドよりも安上がりだった。
 ビニル被覆なのでアルミ柵とケーブルが接触することなく、簡単に季節の太陽高度に合わせて角度調節が出来るだけでなく、避難路として必要がある場合には畳んで柵に沿わせることもでき、柵の内側で手摺りよりも低いので景観を妨げることもなく、ビニルワイヤの色もアルミ柵の色に近くほとんど目立たない。勿論、ワイヤグリップによる取り付けは堅く、万が一の落下の心配もない。洗濯物程度の違和感もないので、多分規約に抵触することはないのではないか。
 これで、小さな花々を育て楽しむベランダ園芸と同様、太陽の恵みをささやかな自然エネルギーとして活用する手立てが出来たことになる。同好の士のヒントにでもなれば幸いである。

(追記)太陽光パネルによる発電を考慮すると、日照権という概念は、具体的な利益を伴う非常にリアルな権利として捉え返すことが出来るようになることが分かった。