武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

少し元気に その七

赤城下ろしが吹き荒れる寒い日には

西側の工作室に設置してある薪ストーブに火をいれる。

電気やガス、灯油などを使うストーブと比べると

その不便さは計り知れないほどあるけれど

山荘暮らしでは得がたい長所があり欠かせない。

 

私たちの山荘は雑木林の中にあり

前の所有者は手放すときに買い手がつかなくて

何本もの松とコナラの大木を伐採、

景観をととのえて何とか売ろうとしたらしく

購入した時点では、たくさんの木材が横たわっていた。

 

それを何年もかかって切り刻み薪を作り

まだ片付け終わらないというのが現状。

チェーンソーを唸らせ、林業ギアをいくつも買い込んで

冬までに薪棚を一杯にして、せっせと薪ストーブを燃やして

林の中を片付けてきた。

 

我が家の薪ストーブに関する限りは、燃料費は全くのゼロ。

二酸化炭素の収支についても、

育つときに吸収した分をガスにして煙突から出しているだけなので

絵に書いたようなカーボンニュートラル

灰は肥料として林床に散布して元に返すだけ。

 

ストーブに関しては、今は三代目

最初はステンレスの時計型、よく燃えるけれど

何となくロマンにかける気がして、

同じ時計型の小型で持ち運びができるアウトドアタイプに買い換えて

林のであちこちに移動してかなり楽しんだけれど飽きてしまい

現在は、安物だが二次燃焼機能をもつ鋳物製におちついている。

 

二次燃焼と言うのは、薪から火の熱で発生した燃焼ガスが

新しい空気に接触して燃える一次燃焼で燃え残った不燃ガスを

ストーブの内部を通過して熱せられた空気により

さらに再燃焼させる仕組み、二段燃焼とでも呼ぶべき仕掛け。

 

煙突からでる煙を見ると燃しはじめには見える煙がでるけれど

調子よく燃え始めると空気のもやもやしたゆらめきしか見えなくなる。

それでも、燃焼にともなうガス、たとえば炭酸ガスや水蒸気その他の

燃焼ガスは大気中でてゆくのは間違いない。

 

それでも、薪が燃えるの見ていると

気分が高揚し、子どもの頃からの火にかかわる思い出をチェック

したりして暖まっていると気持ちがいい。

山荘暮らしの大事な冬の楽しみとなっている。