武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

1000人の村から見れば・・・

 重い気分のままインターネットをさまよっていて、ふと「100人の村」のことが気になり、「100人の村からメールの真相」という不思議なサイトに行き着いた。どうも元オウムのメンバーが運営しているサイトらしいが、情報量が多く、興味深い内容だった。その中に、「100人の村から」は元は「1000人の村から」だったということが書かれていて、元になった原典(何だかお経みたい?)の英文と和訳が出ていて面白かったので、和訳の方を引用してみることにした。以下は全文引用です。


1990年5月31日号『世界市民』(Global Citizen
ドネラ・メドウズ

村の状態のレポート

もし世界が1000人の村だとしたら
584人がアジア人
123人がアフリカ人
95人が東西ヨーロッパ人
84人がラテンアメリカ
55人がソビエト人(とりあえずリトアニア・ラトヴィア・エストニアなどを含む)
52人が北アメリカ人
6人がオーストラリア人とニュージーランド

村の人々の意思疎通はかなり困難だ。
165人が普段中国語を話す
86人が英語を話す
83人がヒンディー語ウルドゥー語
64人がスペイン語
58人がロシア語
37人がアラビア語
このリストでは村の半分の人の母国語しか載っていない。残りの半分は(多い順に)ベンガル語ポルトガル語インドネシア語、日本語、ドイツ語、フランス語、その他200語が話されている。

その村のうち……
300人がキリスト教徒(183人がカトリック、84人がプロテスタント、33人が正教会
175人がイスラム教徒
128人がヒンドゥー教徒
55人が仏教徒
47人がアニミスト
210人が残りの宗教(無神論者を含む)

村の3分の1(330人)は子供。子供たちの半分だけが、はしかや小児まひのような予防可能な伝染病に対して免疫がある。
1000人の村人のうち60人が65歳以上。
既婚女性の半分以下しか、近代的な避妊具を入手・使用できない。
毎年28人の赤ん坊が生まれる。
毎年10人が死に、そのうち3人が食糧不足で、1人がガンで死ぬ。死者のうち二人は生まれて1年以内の赤ん坊だ。
村の1人はHIVウイルスに感染している。その人はまだエイズの末期症状にまでは至っていないだろう。
28人が出生し、10人が死亡するので、翌年の村の人口は1018人になる。

この1000人の共同体で、200人が収入の4分の3を手にしている。別の200人は収入の2%しか手にしない。
70人だけが自動車を持っている(そのうち数人は複数の車を持っている)。
約3分の1の人は、きれいで安全な飲み水を入手できない。
村の670人の成人のうち、2分の1が文盲。

村は一人あたり6エーカー(2.4ヘクタール)の土地を持っている。全部で6000エーカー(2400ヘクタール)の土地のうち、
700エーカー(280ヘクタール)が耕作地
1400エーカー(560ヘクタール)が牧草地
1900エーカー(760ヘクタール)が森林地帯
2000エーカー(800ヘクタール)が砂漠、ツンドラ、舗装その他の不毛地帯
森林地帯は急速に減少している。不毛地帯は増えている。残りの土地分類はおおむね安定している。
村は肥料の83%を耕作地の40%に投入する――それは最も豊かで最もよく食べている人たちが所有している。この土地から流れ去る過大な肥料が湖と井戸に汚染を起こす。
肥料の残り17%を割り当てられた60%の残りの土地は、穀物の28%を生産し、73%の人々を養うことになる。その土地の上の平均穀物産出は、金持ちの村人たちが得た産出量の3分の1である。

もし世界が1000人の村であったなら、5人の軍人、7人の教師、1人の医者がいるだろう。毎年300万ドル以上の村の歳出予算のうち、18万1000ドルが武器と戦争に、15万9000ドルが教育に、13万2000ドルが健康管理に使われている。

村はその地下に、村を何度も吹き飛ばしてしまうのに十分な破壊力を持つ核兵器を埋めている。これらの武器はちょうど100人の制御下にある。他の900人は、その100人がうまくやっていけるかどうか、もしうまくやっていったとしても、その武器を不注意や技術的失敗で爆発させないかどうか、また武器を廃棄することに決まったとしても、その兵器から生まれる危険な放射性物質を村のどこで処分するのかを心配して、深い不安を抱いて眺めている。