武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『現代漫画博物館』小学館漫画賞事務局・竹内オサム著(発行小学館06/11/20)

この国のマンガ文化史をどのように組み立てるか、長い間マンガに親しんできた者にとっては、これはとても興味のあるテーマ、この本は、そんなテーマに思いきって取り組んだ勇気ある挑戦の一つめ。ジャンル別ではなくマンガの総合的発達史を目指したところが…

 深まる武蔵野の秋

久しぶりにカメラを持って、自宅近くの農道を歩いてきた。近くの公園を横切り、北に向かうと都市近郊型の農家の野菜畑が一面に広がっている。特産の里芋畑は枯れた色を見せ、収穫待ちの畑と、既に収穫を終えた畑のどちらか。秋の情景が広がっている。ちなみ…

 『日本出版文化史』 岡野他家夫著 (発行原書房1981/1/31)

貸本文化について調べていて、背景の出版文化史が気になって、この「日本出版文化史」にめぐり会った。600ページを超える大部な本だが、記述が資料に基づき具体的で、年表を上段に配置して、下段の三分の二を本文の記述にあてたレイアウトなので、非常に読み…

『貸本マンガRETURNS 』貸本マンガ史研究会 編・著 (発行ポプラ社2006/03)

今日は貸本屋シリーズの最終回、子どもの頃身近に体験した<貸本マンガ>の時代について。このジャンルを丹念に調べている「貸本マンガ史研究会」というグループがまとめた一冊にたどりついた。全編、貸本マンガへのノスタルジーと愛着に満ちた素晴らしい本…

 『近世貸本屋の研究』 長友千代治著 (発行東京堂出版1982/5/30)

諸外国にも貸本屋が普及した時代があったことがわかったので次に、この国の貸本屋の歴史がどうなっているか調べるのに、格好の本があったので紹介しよう。「近世貸本屋の研究」がそれ、あまり研究がすすんでいない領域でもあり類書に乏しいので、まずこの本…

 『イギリスの貸本文化』 清水一嘉著 (発行図書出版社1994/3/31)

少年期のノスタルジーに後押しされて貸本屋について調べているうちに、意外にも貸本業が世界的な広がりを持つ文化現象であり、大衆文化の歴史の一時代を画す出来事であったことが分かってきた。公的私的両方の教育が普及し人々の識字率が向上、民衆の生活に…

 『日本古代文学史(初版)』 西郷信綱著 (岩波全書1951/10/15第1刷)

また一人、戦後のわが国をリードした存在感のある識者が亡くなった。国文学の世界では主流ではなかったかもしれないが、古典を学ぼうとする多くの若者たちを引きつけ強い影響を与えずにおかなかった国文学の改革者、西郷信綱氏が9月25日92歳で逝去された。 …

 中禅寺湖の紅葉

テレビや新聞で奥日光の中禅寺湖周辺の紅葉が、今年は特に見事だとのニュースに誘われて、晴天続きの天気予報をあてにして、中禅寺湖に二泊のキャンプに行ってきた。これが今年の最後のキャンプになるかもしれない。 金精トンネルの方から奥日光に向かったが…

 『ぼくらの時代には貸本屋があった−戦後大衆小説考』 菊池仁著(発行新人物往来社2008/8/5)

近所の新刊本屋をのぞいていて、<貸本屋>の一言にひかれて手にとった。副題の<戦後大衆小説考>も気になった。奥付けを見ると、著者は1944年横浜生まれとある。ほぼ同世代の大衆小説好きの、活字中毒患者とみた。 特に読みたかったのは、第一章の<貸本屋…

 『ミッシャ・マイスキー・ソロ・コンサート』(所沢市民文化センター ミューズ・アークホール)

2000人以上は入ると言う触れ込みの大ホールの明かりが絞られると、ステージの前方中央に置いてある、背もたれにチェロをデザインした洒落た椅子に、豊かな白髪を肩よりも長く伸ばしたマイスキーだけが一人、チェロを膝の間に置き、弾き始めた。豊かな音量が…

 『鳥が教えてくれた空』 三宮麻由子著 (発行NHKライブラリー2002/2)

まず本書の「感性の夜明け」というエッセイから著者の言葉を引用させていただく。 私は眼圧を下げる手術により、四歳で全盲になった。文字どおり一日にして光を失ったのだ。一年近い入院の間、数回の手術が施されたが視力は回復しなかった。 このような境遇…

 4種のハバネロ入り調味料レシピ

前にも報告したが、菜園で栽培しているハバネロが予想以上に激辛だったので、そのままでは料理に使えそうもない。素晴らしくフルーティな香りと辛さを何とか使いこなしたくて、いろいろ調べたり工夫したりして、香りと辛味を調味料に抽出して適量を使うとい…

 『インターネット図書館 青空文庫』 野口英司編著(発行はる書房2005/11)

快適にPCで読書するにはどうしたらいいか。10年近く工夫を重ねてきた。経年劣化で茶色くなった古い文庫のびっしり詰め込まれた小さな活字を見ると、処分するしかないなという気になる。公平な比較とはいえないが、そんな古い文庫に比べると、好みのテキス…

 『のはらうたⅠ』 工藤直子著 (発行童話屋1984/5)

装丁、レイアウト、本文レイアウト、内容の構想、内容そのものなどなど、1冊の詩集を構成するすべての条件において、これほどバランスよく作られた本を他に知らない。小型の本なので児童書のコーナーに並んでいると全く目立たないが、おそらく子ども達には到…

 『紙芝居昭和史』 加太こうじ著 (発行旺文社文庫1979/10)

今は亡き父や母は紙芝居を嫌っていたようだが、私は好きだった。近所に紙芝居屋さんが来ると、商売の駄菓子を買う小遣いをもらえない私は、皆から少し離れて紙芝居を見ていた。聞き取りにくいので耳を澄まして、集中力を尖らせて必死でストーリーを追い絵に…