武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

 『[図解]さかな料理指南』 本山賢司著 (新潮文庫)

本書の最大の特徴は、写真が全く使われていないこと。図解とは、イラストによる分かりやすい絵解きと言う意味、著者自身によるイラストと文章がうまく組み合わさり、これまで読んだどんな料理本よりも分かりやすい、というか、手順がイメージしやすい。 味の…

 『「数」の日本史』 伊達宗行著 (発行日本経済新聞社)

文化的活動の変遷を要素的に絞り込んだ個別文化史は楽しい。科学史、美術史、音楽史、文学史、演劇史、教育史、風俗史、建築史、交通史などなど、対象を絞り込むほどに変遷のあり様がより詳細に浮かび上がり、興味は尽きない。 新しい本ではないが、最近にな…

 《「学歴詐称」で大阪市職員965人を停職1カ月》の記事に思うこと

今朝の朝日新聞の社会面にでていた大阪市職員の学歴詐称問題を読み、心が痛んだ。受験資格の上で、詐称といわれても仕方のないのは事実だが、よほどの事情がない限り、人は下方に学歴を偽ったりしないもの。技能職の受験年齢が35歳までと幅があったのと、…

 『おいしいハンバーガーのこわい話』 エリック・シュローサー、チャースズ・ウィルソン著 (宇丹貴代実訳)発行草思社

エリック・シュローサーの本は、以前に『ファストフードが世界を食いつくす』というのを読み感心したので、書店で見つけてつい手が出てしまった。一読、今回の方が内容が整理されて読みやすくていっそう説得力を増したと思うので紹介しよう。 内容は、マクド…

 『動物の権利』デヴィッド・ドゥグラツィア著 戸田清訳(発行岩波書店)

表紙を折り返したところに「動物とはどんな存在なのかを知り、人間と動物との関係を見直そう」と太字で書いてある。この本の中身を一言で要約したのが、この言葉。200ページに満たない小冊子だが、動物虐待問題を考える入門書として、手ごろな良書に仕上…

 《うつくしい人生(フランス映画)印象記》

フランソワ・デュペイロン監督の「うつくしい人生」という映画を、ハイビジョンTVで見た。2時間近い上映時間だったが、起伏に富んだドラマもなく、目を瞠るアクションシーンもなく、ドキドキするラヴシーンもなし、それなのに2時間近く画面に引き付けられ…

《ベートーヴェン主要作品ボックス(60CD+CD-ROM)》発売元SONY BMG

高校生の頃から聞き出したベートーベンの音楽、かれこれ40年以上も、ベートーベンを聴かなかった年はおそらくないはず。強烈な音の主張も悪くはないが、清楚で透き通るような叙情性、これほど儚くて美しい音があっていいものか、と思うほどに美しい音を創…

 《世界名詩集大成から10年たって起きたこと》

敗戦から15年、平凡社が企画した画期的な全集、「世界名詩集大成」の内容を目次を引用しつつ、数回に分けて紹介した。この国の戦後復興のエネルギーの、最良の部分を垣間見るような、素晴らしい全集だった。今思い起こしても、ワクワクするような企画だっ…

 ネジバナの開花

駐車場わきの芝生を見たら、去年と同じ場所にネジバナが可愛らしい花をつけていた。去年の記録を見ると、6月18日。1日違いだ。こんなに正確に花を咲かせるなんて、不思議。ネジバナは地下に茎があって、季節が来るとそこから芽をだして、地上に出てくる…

 《世界名詩集大成(全18巻)の<16〜18>(日本篇1・2、東洋篇)》(発行平凡社)1960年

18巻の全集の中で、一番苦労したのは、この日本篇だったのではないか。世界の名詩集に入れるに値するこの国の詩集をどれにするか、何を基準にして、どれを取りどれを外すか、議論が分かれたことだろう。16巻めを見ると、今ではなかなか目にする機会のな…

《世界名詩集大成(全18巻)の<12〜15>(ロシア、ソヴィエト、北欧・東欧、南欧・南米)》 (発行平凡社)1960年

僅か半世紀にも満たない期間の北ヨーロッパの現代政治の激動が、この全集にも反映して、ロシア篇がロシアとソヴィエトの別の巻になっている。既に、ソヴィエトという国家形態が存在しない今となっては、複雑な感慨にかられてしまうが、この全集の発行当時、…

 《世界名詩集大成(全18巻)の<9〜11>英語篇(イギリス・アメリカ)》(発行平凡社)1960年

この世界名詩集大成の英語圏篇と言うべきイギリス篇2巻、アメリカ篇1巻は、現在、文物の翻訳紹介が圧倒的に多いこの文化圏からの文化の流入の偏りを、静かに冷静に見守るかのような、貴重な蓄積が詰まっている。 雨が降り続いて外に出られない日、追いたれ…

 《世界名詩集大成(全18巻)の<6〜8>ドイツ篇》

二度の世界大戦を最も過酷で悲劇的な形で体験したドイツの詩人たちへの関心は、やはり戦争体験が、言語の美に残した氷河の爪痕のごとき傷跡。時代の地殻変動を言葉の芯の部分で受け止めざるをえない表現形態が詩であるとするなら、ドイツの鋭敏な感受性は、…

 《世界名詩集大成(全18巻)の<2〜5>フランス》(発行平凡社)

戦後の一時期、フランスの文学や哲学、映画や音楽などがこぞって翻訳紹介されていたことがあった。ブームだったような気がするが、外国の文物の紹介が特定の国に偏る傾向は、その後も続いているような気がする。ここしばらくは、英語文化圏のものの流入が圧…

 《日光白根山登山》

この日は、クルマを丸沼高原の駐車場に移動し、ロープウェイを利用して、日光白根山に登った。所々に雪が残り、場所によっては登山道にかぶさり、夏場はもっと歩きやすい道なのだろうが、少々辛い上り下りだった。何年も前に岩木山に登っていらいなので、体…

 《奥日光の戦場が原ハイキング》

奥日光の戦場ヶ原のハイキングに行った。梅雨時のこの季節、戦場ヶ原の周辺では、ズミの樹が一斉に花をつけ、湿原ではワタスゲが高原の風に白い穂をなびかせる。僅かの晴れ間を利用して、眩しいような初夏の高原歩きを楽しんできた。 ズミの花は、七分咲き程…

 《世界名詩集大成(全18巻)の<1>古代・中世》(発行平凡社)

「今後二度と出版の機会を得られないと思う」としおりの後記に編集者がメモしたように、このような出版企画は、1960年以降、二度と現れることはなかった。この国が、壊滅的な敗北を喫した大戦のわずか15年後、一企業の中にこのような壮大な文化的な壮…

 《イタリアの反喫煙法見聞》

今回の南イタリア旅行でおどろいたことの一つに、ついに踏み切った反喫煙法の施行がある。02年のWHOの喫煙規制枠組み条例を受けてその年の12月に、反喫煙法が成立、05年の1月から施行に移されたもの。幸いにも同じツアーのメンバーにひとりも愛煙家が…

 『ホワイト・プラネット』 カナダ・フランス合作映画 (監督: ティエリー・ラゴベール, ティエリー・ピアンタニダ)

北極圏に生息する野生動物の生態を捉えたドキュメンタリー、どうやって撮影したのか想像できないようなアングルからの映像が、次々と出てきて眼を奪われた。82分という最近の長時間化する傾向の映画の中で、これで十分と、見るものを満足させ納得させる作…

 《南イタリアの見聞》

○ナポリの見聞・・・噂ではナポリ市内の交通は最悪で、ここで運転できれば、世界中どこへ行っても運転できると言うらしい、とにかく、ちょっとした隙間があれば素早くクルマの頭が入り込んでくる、大きな交差点以外に信号が無く、阿吽の呼吸で車が走り人が横…

 『一娼婦の手記−ファニー・ヒル−』 ジョン・クリーランド著 中地知夫訳(発行田園書房)

英国産の古典ポルノを代表するファニー・ヒルの日本語訳は、何種類あるのだろう。気になったのでネットで調べてみた。①原笙二訳(美和書院)1951年②松戸淳訳(紫書房)1951年③清水正二郎訳(浪速書房)1965年④吉田健一(河出書房新社)1967年⑤近藤潔訳(角川…

 《著作権延長問題》

著作権の保護期間を20年延長するかしないかが検討課題として浮上してきている。6月2日の朝日新聞日曜版のbeで特集していたので、この話題にのってみよう。まず著作物とは何かということがあるので、著作権法第十条を引用しておこう。(画像は、アルベロベッ…

 《シチリア島の見聞》

映画ゴッド・ファザーとニューシネマ・パラダイス、そして漠然としたシチリア・マフィア発祥の島程度の知識、だが、実際に行ってみて驚いた。 イタリア半島のつま先にある三角形の島、実は、地中海最大の島で、面積は約26000㎡、四国の1.5倍もあり、東…

 《夏野菜のトマト漬け》

先日、NHKの「ためしてガッテン」という番組でトマトの特集を見た。この国のトマトの旨味は種の周りと皮にあるので、ヘタ以外のすべてを活用する調理法が、この国のトマトに適した調理法だという内容だった。小林カツ代さんの「漬けものとっておき」という本…

 新河岸川水系の身近な川の一斉調査

今日は朝から荒川の支流、新河岸川の身近な川の一斉調査に協力して、仲間と一緒に河川の水のサンプリングと水質検査に行ってきた。この日は、新河岸川水系だけで259箇所の測定が行われ、荒川や全国の河川におけるボランティアの測定を含めると、一体何箇…