武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

 『老いを光らせるために』 松永伍一著 (発行大和書房1996/5/30)

ある調べ物をしていて、松永伍一さんが昨年の春に亡くなられていたことを知り、ショックだった。かつて「日本農民詩史」という類い希な力作を手にして、その粘り強い取材と、執拗な構成力に圧倒されたことを思い出した。再び読む機会はないかもしれないと思…

 見事なプラタナスの冬木立

散歩していて、立派に育った大きな樹木に出会うのは、いつの季節でも心休まるひとときである。今日は大寒、この時期、落葉樹はきれいさっぱり丸裸となり、大気に裸身をさらしている。視線を遮る余計なものを身につけていないので、掛け値なしの樹形が見て取…

 航空公園のロウバイ園は今が満開

今日は昼前から気温がぐんぐん上がり、桜の頃の陽気になった。最近、昼食の後、航空公園を小一時間散歩することにしている。今日も、出かけた。 近年整備された園内のロウバイが、甘い芳香を放って、ほぼ満開の様子、先週から散歩の折りに必ず立ち寄ることに…

 『猪谷六合雄スタイル 生きる力、つくる力』 猪谷六合雄著, INAXギャラリー企画委員会著, 建築・都市ワークショップ編, 石黒知子編 (発行INAX出版2001/6/15)

明治生まれの稀にみる、遊びと生活の達人、猪谷六合雄の素晴らしさを視覚的にもっともわかりやすく紹介する本として、この本は、高田宏さんの評伝とならぶ絶好の猪谷ワールドの入門書である。 この猪谷六合雄なる人物は、つい何年か前に亡くなられた米原万理…

 『世の中にこんな旨いものがあったのか?』 秋元康著 (発行扶桑社2002/03)

はじめは数多いグルメ本の一つだろうと思った。装丁が良かったのと写真に迫力があったので、bookoffの105円コーナーで手に取った一冊だったが、読んでみて驚いた。秋元さんの料理を語る文章が<旨い>のだ。すぐに、写真を見て次に文章を読むという読み方を…

 『なにをどれだけ食べたらいいの』 香川芳子監修 (発行女子栄養大学出版部2005/11/20)

表紙をめくると、非常にわかりやすいフレーズが目に入る。文句のつけようのない導入なので、引用しよう。 これを食べれば健康になれる、 という食べ物はありません。 これを食べたら不健康になる、 という食べ物もありません。 たいせつなのは、いろいろな食…

 『明治の探偵小説』 伊藤秀雄著 (発行晶文社1986/10/25)

子どもの頃の貸本屋が繁盛していた遠い昔から、ミステリーや探偵小説が大好きだった。この嗜好は今も変わらず、多分今後も変わらないような気がする。この興味が広がって、ミステリーや探偵小説の文化史的な展開にも興味があり、歴史の中に埋もれている忘れ…

 『開高健の憂鬱』 仲間秀典著 (発行文芸社2004/5/15)

開高健の人と作品を、精神科医の立場から見るとどうなるか、そんな疑問にほぼ満足と納得のいく回答を与えてくれる本を読んだ。診断に強引な押しつけがましさがなく、読みやすくて理解しやすい作品に仕上がっている。よりよく開高健という作家を理解するため…

 『赤い雪―勝又進作品集』 勝又進著 (発行青林工芸舎 2005/11 )

一昨年の2007年12月に、マンガ家の勝又進が亡くなっていたことを知り、生前に出版されていたこの作品集を手に取った。昔も昔、ガロというマンガ月刊誌で目にして以来、すっかりご無沙汰していたが、何故か名前だけは記憶に引っかかっていた。「赤い雪」と題…