武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

 『蕨野行』村田喜代子著(発行文春文庫)

鳥獣戯画の筆致で書かれた、人間喜劇を見ているよう。悲惨極まりない棄老伝説を題材にした物語ではあるが、読後感は持ち重りのするズシンとした手ごたえだが奇妙にほの明るく透き通った印象。映画や演劇の原作として、複数のメディアから歓迎された作品、分…

『プロ級ナンプレ』ウェイン・グールド著(発行角川文庫)

<ナンプレ>とも<数独>とも慣れ親しんだので、PCプログラム作成の最も難しいレベルのナンプレに挑戦してみるため、この本を購入。552円で200問あるちょっと厚めの文庫本、コストパフォーマンス(費用対効果)はなかなか。 内容について、これは相…

 ベスト100と100選、探してみれば(その2)

図書関連のベスト100は楽しかったので、そのほかも探したら、探せばあるものですね、なかなか面白そうなのが、いっぱい見つかりました。 それにしても、やっぱり気になったのは、選からもれた101番目や102番目のこと、惜しくも入選しなかったものをいくつか…

 ベスト100と100選、ネット上を探してみれば(その1)

同好の士が多いのではないかと思うが、私はベスト100や100選という発想が嫌いではない。その道に専念しているマニアックな方にとっては、笑止な考え方だとは思うが、どんなことでも100項目ひとまとまりにして示されると、ついわが身に引き寄せて、いそいそと…

 『町のノオト』 笹原常与詩集(発行國文社1958/9/20)

この詩集は、今から50年前の、限定200部というささやかな出版物だったので、その存在を知って約40年、入手したいと思いつつ果たせなかった、私にとっては幻の詩集だった。最近になって、きまぐれにある日ネット上を検索していて、売りに出ているのを…

『私―谷川俊太郎詩集 』谷川俊太郎著 (発行思潮社2007/11/30)

谷川俊太郎さんの一番新しい詩集、当たり外れのない、この国では珍しい本物のプロの詩人だと思ってきたが、何年か前、minimalという詩集を読み、「しばらく詩から遠ざかりたいと思ったことがあった」と書いた後書きを読み妙に納得した。その詩集の呟きのよう…

 『ニコリ「数独」名品100選』 ニコリ編著 (発行文芸春秋)

何年か前に退職者の純粋遊戯として恰好のゲームだという趣旨のブログを書いたが、その後精進して、雑誌を何誌か買ってみたり、文庫や新書になっているものに手を出したり、ずいぶんとお世話になってきた。いろいろやってみるうちに、すこしずつ新たに分かっ…

 『太陽のかけら』[原題]KUNGSLEDEN スウェーデン映画 1965年東和配給

ふとしたきっかけから、古い映画を思い出した。どこの映画館で見たのか思い出せない。このころちょうど太陽の何々という邦題の洋画が、盛んに上映され、それなりに観客を動員していた時代だった。アメリカ映画に見飽きた洋画好きに、イタリアやフランスの映…

 続・ブリリアント・クラシックスのモーツアルト全集の事典的活用のために

かつて、1991年前後だったと記憶するが、モーツアルト没後200年記念のイベントで盛り上がったことがあった。小学館の企画で、フィリップス社の音源を軸にしたモーツアルト全集がでた。全15巻を毎月1巻ずつ、大きなケースに解説本とCDを組み合わせ…

 ブリリアント・クラシックスのモーツアルト全集の事典的活用のために

音楽CDの売り上げが伸び悩み傾向にあるという。代わって、ネットを利用する音楽配信事業が好調らしい。ipodなどの場合、いちいちCDから入力するよりも、ネットからまとめてダウンロードしたほうが作業も手間もかからず効率的、CDのように場所もとらず便利で…

 『オリガ・モリソヴナの反語法』 米原万里著 (集英社文庫)

一言で紹介しにくい小説だけれど、傑作間違いない、小説を読む楽しみを詰め込み過ぎるとかえって失敗作になることが多いが、この米原さんの処女小説はそんなことはない。見事に成功をおさめた力作にして名作。楽しくユーモアに充ち溢れ、しかも深刻で重く、…