武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

 『カンディド』 ヴォルテール著 丸山熊雄・新倉俊一訳(筑摩書房・世界文学体系)

辞書を引いてみると<哲学小説>だとか<18世紀風刺文学の傑作>だとか、いろいろなことが書いてある。現代の感覚で読んでみると、哲学の意味も、風刺の意味もピンとはこない。むしろ、次々に主人公たちに襲いかかる不運と災難が反映している18世紀の時代性…

 春一番の後の武蔵野

先週末、武蔵野の冬木立ちを吹き鳴らして、春一番が吹き荒れた。関東ローム層の赤土を巻き上げて、地上付近の大気が黄土色になった。玄関の外の階段に敷いてある重い足拭きマットが裏返った。浴室の換気窓から入り込んだ砂塵が、浴槽の底にうっすらとたまる…

 『黄落(こうらく)』佐江衆一著(発行新潮社)

この小説は95年頃のベストセラー、NHKのテレビドラマとなり、それをもとにした映画も上映されたりしたので、内容を御承知の方も多いと思うけれど、bookoffの105円コーナーで見つけて読んでみたところ、読み手を引き付けて離さない素晴らしく魅力ある読み物、…

 石垣島滞在の印象

今月の7日(木)から16日(土)までの10日間、武蔵野の寒さを避けようという意図で、南の島石垣島へ行ってきた。どんなに寒くても最低気温が10℃を下がることがなく、晴れた日の日中は20℃を越えることもある亜熱帯で束の間の心地よい暖かさを楽しんだ。 …

 ベスト100と100選、探してみれば(その3)

ベスト100と100選を探していて、恰好の出版物が出ていたことがわかった。『日本の100選データ・ブック改訂版』なるのがそれ、しかも財務省印刷局が発行、奥付を見ると1998年に初版が出て、2001年に改訂版が出ている。これはすごい。紙幣や切手などを印刷して…