武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 春一番の後の武蔵野

 先週末、武蔵野の冬木立ちを吹き鳴らして、春一番が吹き荒れた。関東ローム層の赤土を巻き上げて、地上付近の大気が黄土色になった。玄関の外の階段に敷いてある重い足拭きマットが裏返った。浴室の換気窓から入り込んだ砂塵が、浴槽の底にうっすらとたまるほどに、砂埃がひどかった。エジプトの砂嵐の季節も凄いと聞いたが、武蔵野の春の嵐も可なりのもの、とても出歩く気にはなれなかった。

 今日も北風が強いが、足慣らしに少し近所へ散歩にでた。今が一番花の少ない季節ではないか。雑草も野菜も、ことごとく北風に縮こまって、地面にへばりつきとても花どころではない様子、それでも、風の来ない陽だまりの一等地には、僅かに咲いている花を見つけた。オオイヌノフグリホトケノザなどの、とびっきり寒さに強い雑草たち。 (画像は近所の果樹園の陽だまりで見つけたホトケノザ、葉っぱに春一番の砂塵が付着している)
 暦の上では、19日に雨水を過ぎて、「雪が雨に変わり、雪や氷は溶けて水となる。忍びよる春の気配に草木がよみがえる」というが、今の武蔵野は、北側は先日降った雪が残り、南側では雑草が花をつけるなど、冬と春が同居している。
 散歩の途中、農家の軒先で即売している野菜を買ったりするのも楽しみだが、今は買う気になる野菜が少ない。今日は、漬物の大根を買い、ぶら下げて帰ってきた。