武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

 『ぼくらの小松崎茂展』印象記(逓信総合博物館)10月7〜12月3日

私の少年時代は、圧倒的に小松崎茂のイラストに影響された時代だった。戦後文化の代表の一つのマンガは勿論だが、絵物語というメディアによって物語を読む楽しさを、小松崎茂のイラストを通して学んできたことを痛いほど実感した展示だった。 すべてを雑誌や…

 ベルギー王立美術館展印象記(国立西洋美術館)9月12〜12月10

ブリュッセルにあるベルギー王立美術館にいったのは何年前になるか、確かオランダ、ベルギーと同時期に旅行したのだったが、旅行の何よりの楽しみが美術館探訪だった。その折の目玉だった王立美術館の名品が来るというので上野に行ってきた。 予想していた以…

 『天国への道』白川道著 (幻冬舎文庫)

400ページを越える分厚い文庫の(上)(中)(下)三巻、原稿用紙にして2000枚を凌駕する長編小説。かつてテレビドラマ化されたことがあるらしいが、数日間をたっぷり楽しませてくれる、ミステリー仕立ての恋愛小説。美男美女として設定された主人公…

 池田20世紀美術館(静岡県伊東市)

4日間ほど伊豆へ旅行に行ってきた。その折に立ち寄った「池田20世紀美術館」が、周辺の環境を含め美術館の建物、収蔵品のレベル、展示方法など、いずれも素晴らしく、見事な20世紀の現代美術を堪能する時間を過ごさせてもらった。美術の書籍などの画像…

 木枯らし1号が武蔵野に吹いたこと

(画像は陽だまりで咲き誇ってた菊、このごろ散歩でよく見かける) 二十四節季によると11月7日が立冬と言うことになる。ネットで調べたら「陰暦10月の節で、陽暦の11月7日頃。この日から立春までが暦の上で冬。季語には冬立つ、冬に入る、冬来る、今朝の…

 十七年蝉(ジュウシチネンゼミ)の紹介

<十七年蝉>の名前を聞いたことがおありだろうか。十七年間を地中で過ごし、十七年に一度地上に出てきて、数週間(2〜3週間)地上で蝉として暮らし、気に入った相方を見つけて交尾し、受精し、産卵して、十七年の寿命を終えるという珍しい蝉のこと。十七…

『悪の華』ボードレール著 安藤元雄訳(集英社文庫)

詩集「悪の華」の翻訳は数多い。私が読んだものだけでも、堀口大學、金子光晴、鈴木信太郎、福永武彦、阿部良雄、安藤元雄、この6人分もある。どれか1冊でいいのにどうしてこんなにあり、沢山読んでしまったのだろう。どれを読んでも、何だかしっくりこな…

 『流され者①狂神の章』 羽山信樹著(角川文庫)

この国が大きな変革の荒波に飲み込まれた幕末、流刑地八丈島を舞台に、前代未聞の時代劇ヒーローを配置した、類例のない伝奇時代小説「流され者」の魅力について語りたい。時代小説に求められる暗黙の枠組みや創作上の約束事をほとんど無視した上で展開して…