武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧

 「ヤマザキ、天皇を撃て!」皇居パチンコ事件陳述書 奥崎謙三著(三一書房)ニューギニア戦線で奇跡的に生き残った元日本軍兵士、6月16日死去の報道に触発されて

戦後60年、これまで何回「戦後は終わった」と言う声を聞いたことか。「これで本当に戦後が終わった」という言い方もある。私にとってもある種の感慨をもって戦後は終わったと感じる出来事もあった。すでに終わっているんだなあ、と感じてぞっとすることも…

 「嘔吐」ジャン・ポール サルトル著(人文書院) 今月が生誕100年との記事に触発されて

若かった頃、ほとんどの書店にこの人文書院のサルトル全集が必ず何冊かは置いてあった。実存主義に興味がなくても手を伸ばせば自然に触れると言う感じで、たいがい数冊は読んだか見たかしたことのある人が多かった時代もあったのだ。古い話でゴメンナサイ。 …

 「プラテーロとわたし」秋・冬編 J・R・ヒメネス著 伊藤武好/百合子訳 長新太・画 (理論社フォア文庫) 昨日の続き

長新太さんの訃報をきっかけに引っ張り出してきたヒメネスの散文詩集、プラテーロ。10年以上前になるが、近代のスペイン文学史が気になり、調べてみようとして困惑したことを思い出した。言語の普及割合と比較して、スペイン語圏からの文学作品の紹介が不…

 絵本作家の長新太さん死去、また稀有な才能が鬼籍へ 「プラテーロとわたし」春・夏編 J・R・ヒメネス・作 伊藤武好/百合子・訳 長新太・画(理論社アテネ文庫)を再読

6月25日、喉のがんで長新太さんが77歳でなくなった。長新太さんを絵本作家と呼んでいいかどうか。漫画家、挿絵画家、絵本作家、レッテルはいろいろ貼れると思うが、その画風はたやすく真似が出来るようなものではなかった。独特の個性があり、どの絵を…

バッテリー②あさのあつこ(角川文庫) 中学校生活にカルチャーショックを起こす巧と豪 http://d.hatena.ne.jp/toumeioj3/20050518の続き

第1巻が地方都市新田市への到着と春休み中の中学へのウォーミングアップ編とすれば、この第2巻目は、巧と豪のバッテリーの新たな中学校生活へのスタート編。 中学校は、この国の教育制度の中でも最も多くの矛盾と困難をかかえている所。3年間だがほとんど…

 食べ物の味と味わい方について端正な日本語で語ってくれる我が座右の書 「料理歳時記」辰巳浜子著(中央公論社)昭和48年刊

本の帯に「いまや、まったく忘れられようとしている昔ながらの食べ物の知恵、お惣菜のコツを、四季をおってあますところなく記した、いわば“おふくろの味”総集編!」とある。昭和48年に初版が出ているので、今から30年ほど前の本。この本は、単なる料理の本…

 「真珠の耳飾りの少女」トレイシー・シュヴァリエ著、木下哲夫訳(白水ブックス)

以前にオランダを旅してマウリッツハイス美術館の一角に展示されている縦44・5センチ、横39センチの小さな世界的名画「青いターバンの少女」に近寄っていったときの心臓の高鳴りを思い出した。1枚の絵のまわりが分厚い沈黙に守られているような不思議な近寄…

 使用説明書、取り扱い説明書、マニュアルを楽しく読書することの勧め 学校教育でも国語の時間に是非取り入れるべき生活者の基礎学力  (写真は朝の通勤で見かけた道端の花タチアオイ、近所の人の風流心だろうか)

「取り扱い説明書を読むのが好きです。」と言うと、ほとんどの人から変人を見るような目で見られる。残念でならない。これが、私が知る身近な人だけの現象ならいいのだが、これまでの経験では、どこで聞いても、誰に聞いても、マニュアルに対する偏見でもあ…

 汚れた英雄 第1巻(野望編)大藪春彦著(徳間書店)

気付け薬の役割を果たしてくれるパワフルな一冊 この国のハードボイルド小説の金字塔、大藪小説の最高傑作(写真は67年5月に出た最初のハードカバー、定価が380円だった時代、装丁辰巳四郎) 「大藪春彦はお好きですか?」めったな人にこんな質問はできない…

 「大人のお洒落」石津謙介著(朝日新聞社) 男のファッションについての見識が面白く、深みとかっこよさに満ちていて、何かと参考にさせてもらっていたファッションの先人

大人の立ち振舞い方を話題にして人を惹きつけ、頷かせることの出来た偉大な趣味人、服飾評論家の石津謙介さんが5月24日にご逝去。94歳。遺志により献体し葬儀は行わないとのこと。最後までかっこいいとしか言いようがない。自らの生と死についてある種…

 戦後最大の歌人にして前衛短歌の巨星墜つ、塚本邦雄氏の死去を悼む 「定本塚本邦雄湊合歌集」(文芸春秋)

去る6月9日、歌人の塚本邦雄が亡くなったとの報、84歳だったという。また一人、同時代の偉大な先人、言語表現と時代の感性のお手本にしてきた方が、深い河の向こうに渡られた。何という寂寥、気持ちのどこかで静かに発生する微細だが鋭い痛み、喪失感。…

 堀江謙一さんのヨット単独無寄航世界一周を思い出しながら歩いた散歩(写真は公園で見つけた面白い形をした花、40本ほどのおしべが花びらからはみ出るほど長いビヨウヤナギ)

8時ごろから南に向かって歩き始める。住宅街の外側の整備された歩道で軽いウォーミングアップをすませ、県道に出る辺りからスピードを上げる。県道脇も立派な歩道が整備されている自転車と歩行者とにラインで分けられた道、車道側が自転車だが夜ここを歩く…

 もぎたて落ちたてのアンズを2kgほど入手した。さっそく家に持ち帰り、ジャム作りにとりかかった。作るのが簡単で、知り合いに差し上げると必ず喜ばれるので、レシピと言うほどではないがどうやって作るか紹介しよう。

<材料>アンズ2kg、グラニュー糖1.5kg <作り方>①アンズを軽く湯通しして下ごしらえに取り掛かる。湯通しすると簡単に皮がむけるから。 ②実が崩れているところや汚れているところなどを丁寧に除く。未熟なのや熟しすぎも排除。この作業がジャムの…

 独りだけのウィルダーネス アラスカ・森の生活 リチャード・ブローンネク 古川竣二訳(東京創元社) アラスカの原野に独りだけで過ごす手作り生活日記のすばらしさ

不思議なことにこの本だけは何時どこで見つけたか、全く覚えていない。気に入っている本の場合、出会いの経過についてよく覚えているのに、この本だけは、入手した経緯が分からない。奥付には90年8月3版とあるので、きっとそのころ購入したものと思う。 …

 作家の倉橋由美子死去

倉橋由美子が6月10日、拡張型心筋症で亡くなったとの報。69歳だそう、まだ若い。倉橋由美子の文体と屈折した批評意識が老齢期をどのように描くか、期待する価値があったのに残念。 最近はほとんど読んでいなかった人なので、本棚に残っているものを調べ…

 朝のわずかの晴れ間をぬって早朝散歩出勤(写真は盛んに新芽を伸ばしている公園の樹、一斉に光に向かって手を伸ばしているよう)

早朝は気温も20度以下で、スピードに乗って歩けば、身体にそよ風程度の風が来るので意外と気持ちよく歩ける。信号が赤だったりすると立ち止まるので、風を起こすことが出来なくなり、額と背中にじわりと汗が出てくる。自分が発散する体温が腰周りからのぼ…

 イリーナ・メジューエワ・ピアノリサイタル印象記

ロシアからとてもかわいいピアニストが来るというので早速出かけて行って聴いてきた。いや、見てきたといったほうがいいか(笑)。開演とともにホールの照明が落ち、ステージ中央のピアノの周りだけに5個の天井のライトが当たり、その光の中にすらりとした…

 ナノテクノロジー入門・川合知二著(オーム社)現在進行形の21世紀のキーテクノロジー ナノテクノロジーをもっと身近に

ここ数年、ナノテクノロジーと言う言葉を新聞の科学欄などで眼にすることが多くなった。ナノメートルが1mのマイナス9乗のきわめて小さい単位であり、その小さい単位を取り扱う現代の最先端技術がナノテクノロジーだということは知っていた。その小ささを…

 6月の戦場ヶ原は一面ズミの花盛り(写真は戦場ヶ原で見つけたかわいい木の芽、名前は不明)

昨晩は日光市内の宿に泊まった。夕食は生ゆばのコース料理に舌鼓を打つ。奥日光は霧に包まれて何もみえず、日光市内へすごすご引き返したが、今日は朝からすっきりとした夏晴れ。朝食の後、早々に奥日光へ移動、三本松茶屋の駐車場に車を置き、赤沼茶屋から…

入梅2日目午前中は日がでて少し蒸し暑い

[食事][読書] こどものりょうりのえほんシリーズ③ さあお客をよんでみよう!(主婦の友社)1977年12月発行 当時の定価780円 初期の子ども向け傑作料理絵本3冊シリーズ。 お客をよんでみようと表題にあるが、レシピが特別によそ行きになるわけでは…

 こどものりょうりのえほんシリーズ② お母さんのいない夜(主婦の友社)1977年12月発行 当時の定価780円 初期の子ども向け傑作料理絵本。

本書は昨日の続き。3冊シリーズの2冊目。インターネットでちょっと調べてみたら、3冊をきちんと紹介したものがなかったので、順次、紹介することにした。最初に、のっているレシピすべてを紹介しよう。 ①ちゅうかふうコーンスープ ②ミネストローネ ③にく…

 こどものりょうりのえほんシリーズ① 日曜日の朝のごはん(主婦の友社)1977年12月発行 当時の定価780円

またまた古い本を取り上げて気が引けるが、内容が素晴らしくて処分できずに残っていた絵本なのであえて紹介したい。今から25年以上前、まだ子ども向けの料理の本がなく珍しかった頃、料理の本を得意とする主婦の友社が、子ども向けに気合を入れて作った子…

 Gaudi/Complete Works ガウディ全作品Cristina Montes (著), Aurora Cuito (著)(Feierabends)価格:¥2,330 (税込)791p 豪華で素敵なガウディ作品写真集

解説は英語とスペイン語の二種類、同じ内容が書いてある。解説内容は、作品解説の他にガウディの生涯やガウディの芸術技法、芸術家としての手腕など。それよりも何よりも写真集としての内容が凄い。全791ページのうち700ページ以上がガウディ作品の写…

 「失踪日記」吾妻ひでお(出版・イーストプレス)

表紙に「全部実話です(笑)」吾妻とある。とり・きみの推薦文に「できるだけ多くの人に読んでほしい傑作」とある。3月20日の朝日新聞の書評では、「仕事とは、自己実現とは、そして生きるとは何かを考えさせられる人生の指南書だ。」とまで書いてあった…

 「ぼくがとぶ」佐々木マキ(普及版こどものとも11福音館書店)20数年前の今なお色あせない傑作絵本 <言葉で絵本を読み解く試み>

月刊漫画ガロに時々登場するようになって佐々木マキの描く、漫画のようなそうでないような奇妙な絵が好きになった。杉浦茂を彷彿とさせる奇妙としか言いようのない線の造形が面白く、ストーリーらしいストーリーのない絵の展開が、劇画氾濫の当時、ぎすぎす…

朝の散歩と水質調査、ショッピング 

朝の散歩は7時から1時間、自宅を出て南の方角に向かい住宅地の外縁を回り、時間があまりないことに気づき、住宅街の比較的緑の多い道を選んで帰る。通勤の途上で気になっていた街路樹下に落ちていたの白いものは、やっぱり白い花だったことを確認。(写真…

 受動喫煙症の診断基準(写真はタイで売れれているマイルドセブンライトのパッケージ、タバコの自動販売機のポスターにしたいですね。あるサイトからの引用)

昨年の5月に施行された健康増進法の25条は受動喫煙を防止する条項だった。「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫…

 「ベッドサイド」(1986〜2000)林あまり(新潮文庫) 

俳句にバレ句というのがある、この人の短歌はほとんど、こんな言葉があるかどうか(笑)、林あまりさんの短歌はとにかく凄い。性感をそのままゴロリと白昼の広々とした交差点の真ん中に放り出したようなあっけらかんとした潔さがある。言葉の組み合わせが喚…

 朝食のあと9時ごろから2時間ほど散歩。

自宅の北側には少し歩くと三富新田と呼ばれる武蔵野の畑作地帯が広がっている。少しずつ開発がすすみ雑木林が住宅地に変貌してきているが、専業農家もまだたくさん残っている。江戸時代中ごろの開発で農地化した地域。ここ数年、道路が次々と開通し交通の便…

 藤原真理 風の3部作

3枚組みのボックスセットを十年ほど前に思いきって購入、以来ずっとこよなく飽きずに聞き続けてきたお気に入りCD。1と2は久石譲プロデュース編曲、3は三宅一徳編曲。 藤原真理のチェロは元々叙情性あふれた切れのあるやわらかい音色をもち、小曲をしみじ…