武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 こどものりょうりのえほんシリーズ① 日曜日の朝のごはん(主婦の友社)1977年12月発行 当時の定価780円

toumeioj32005-06-09

 またまた古い本を取り上げて気が引けるが、内容が素晴らしくて処分できずに残っていた絵本なのであえて紹介したい。今から25年以上前、まだ子ども向けの料理の本がなく珍しかった頃、料理の本を得意とする主婦の友社が、子ども向けに気合を入れて作った子ども向けの料理絵本。内容が良いのと珍しいのとで当時評判となった。
 やってみるとわかることだが、親子で料理に取り組むと、実際的な手順や道具の扱い方、衛生面や安全面など具体的に話題にするのが避けられない事柄が可なりある。面倒なこととして避けてしまうと家庭でできる教育の大事な側面を見失うほど大事なことが料理には含まれている。料理には家庭の文化の側面がある。我が家では、この本は親子両方にとっての愛読書だったもの。さっそく内容に進もう。
 「このほんをつかうおともだちへ」「あんぜんに おりょうりをするために」「このほんでつかう字とやくそくごと」「おりょうりをはじめるまえに」 以上の4ページ分の前置きがあり、神経質な親でもここまでやるだろうかと思うほど丁寧。料理で使う単位のこと、身支度や安全対策についてまで細かく書いてある。包丁、ガス、火傷対策など、料理につきもの注意事項にちゃんと触れてからレシピが始まる。
 絵本に登場する絵は全部動物達。イヌ、ネコ、クマ、タヌキなどがディズニー風だが、輪郭線を強調しないもっとやさしくかわいいタッチの絵となってレシピを彩っている。すこし洋風の気取った感じのイラストが作ってみたいなという気をそそる。イラストと本文が完全に一体になっているので、本作りの過程でライターとイラストレーターの共同作業の作品かもしれない。絵本としても見事に出来ている。
 レシピは、全部見開きの2ページを使っている。「とうふのみそしる」9ステップで出来上がり。「たまごやき」は11ステップ。「ポテトスープ」は12ステップ。「ハムエッグ」は11ステップ。「コンビーフキャベツ」は8ステップ。「ミックスサラダ」は10ステップ。「クロックムッシュー」ハムとスライスチーズと卵を使ったホットサンドが13ステップ。本格的な「ピラフ」が10ステップ。「カレーうどん」が11ステップ。ティーカップで作るお菓子「モカフラッフ」が8ステップ。「フルーツしらたま」が8ステップ。最後に「ごはんのたきかた」と「あとかたづけ」があって、以上がこの巻の全レシピ。料理が9にお菓子2。
 この本は、作る過程で実際に子ども達数人に協力してもらい、子どもにもわかりやすいように製作したとある。作り方の説明が丁寧で、すごくわかりやすいのはそのためだろう。我が家でも、この本を使っていくつか実際につくり、しつけと料理の両方で助けてもらった気がする。しかし、絵がステキで説明がわかりやすく美味しそうなので、子ども達は空腹のとき、食事代わりに繰り返しこの本を眺めていたのかもしれない。とじ糸は切れてしまい、いたるところシミだらけでボロボロ状態。遠い昔の思い出にとどめておくのがもったいなくてこうして引っ張り出した次第。