武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

 猪谷六合雄の生涯と文章(その4)『赤城画帖』 高村光太郎著, 猪谷六合雄著, 西山勇太郎編集 (発行龍星閣1956/10/20)

猪谷六合雄の名前が解説者として出てくるこの本も、猪谷に関心のある人なら気になる1冊であろう。高村光太郎が東京美術学校に在学中の20代前後の頃、赤城にスケッチ旅行に来て、現地の少女と交わした相聞歌と、その時の素描を合わせて1冊にまとめたもの。素…

 『イタリア・ルネサンスの巨匠たち全30巻』 (発行東京書籍)

このシリーズの特徴は、解説文がほぼ時系列にそって記述されていて、作品の重要さの程度に応じて画像の大きさを変え、記述にあわせて部分拡大なども織り込み、図版と伝記的経過が巧みに組み合わされて非常に分かりやすいところ。1冊を読めば、画家の生涯と主…

 猪谷六合雄の生涯と文章(その3)『赤城の四季』猪谷六合雄著 (発行山と渓谷社1944/6/1)

猪谷六合雄の足跡を辿ってゆくと、気になる出版物にいくつか行き当たる。写真集「赤城の四季」もその一つ、自分のホームグラウンドとでも言うべき赤城山をテーマにした瀟洒な写真集。古い本なので探すとなると苦労するので、簡単に紹介しておきたい。 まず、…

 猪谷六合雄の生涯と文章(その2)『雪に生きる』 猪谷六合雄著 (発行羽田書店1943/12/5)

この国にスキーブームなどという現象が来ようとは想像することもできなかった大正から戦前の昭和にかけての時代に、スキーに夢中になりジャンプに熱中し、いつの間にか独創的なスキー指導者になっていた明治の男の胸のすくような爽快な回想録。至る所に個性…

 猪谷六合雄の生涯と文章(その1)

明治生まれの今なお名前が残る人には、とんでもなく面白い人物が多いが、この国のスキーとジャンプの草創期を生きた猪谷六合雄なる人物も、傑出した明治の男、自然とともに生きた自然人、自由闊達に世間を気にせずに生きた自由人、人生をスキーに捧げた超ス…

 『よもつひらさか往還』 倉橋由美子著 (発行講談社2002/3/20)

晩年の倉橋由美子の作品群に、このところ気持ちよく酔っている。全作品集以来、熱心な読者ではなくなっていたので再入門である。<桂子さんの物語>4部作と<桂子さんシリーズ>6部作を中心に、70年代後半以降の作品群を図書館から借りだして、少しずつ読ん…

 都市近郊でやっとみつけた蕗の薹

寒くなるという天気予報だったが、風もなく気温はやや低いが、早足で歩くといつの間にか汗ばむちょうど良い散歩日和となった。全国どこでも春先には簡単に見つかるはずというが、私が暮らす武蔵野の一角では、探しても蕗の薹はなかなか見つからなかったが、…

 陽向の丘陵地に春の足音

用事があって出かけた農村地帯の、小高い丘陵地で見かけた、咲き出したばかりの菜の花、意図的に栽培されているものではなく、種がこぼれて勝手に育ったものらしく、雑草のような感じで咲いていたのが、美しく目に飛び込んできた。思わずシャッターを切った…

 綻び始めた武蔵野の雑木林の花

ここ何日か、異常なほど暖かい日が続いている。仲間と一緒にやっている雑木林を再生するボランティアの作業も、力仕事になると汗をかいて困るほどに暑い。落ち葉を掃いて、堆肥造りをやっていると、落ち葉の下から発芽した小さな木々が顔を出す。春の気配が…

 『究極!IQナンプレ』 タイムインターメディア著 (発行学習研究社2008/10)

もうこれ以上ナンプレ本のインプレッションを書くのはやめようかと思っていたが、数ヶ月もの間、抜群の難問で楽しませてもらったお礼に、このクイズの本を紹介しよう。 いかに難しいかについてお知らせしておこう。この本では、難易度を200段階に分類、最初…

 『山の郵便配達』 彭見明著 大木康訳 (発行集英社2001/03)

久しぶりに気持ちの良い短編集を読んだな、という気がした。瑞々しい情景描写、人の生き様に踏み込んだ筋立て、語り口滑らかなこと、ストーリーの寓話的な膨らませ方、他の作品をもっと読んでみたいと思わせる出来の良い短編集である。 特筆すべきなのは、や…

 『デルスー・ウザーラ』 アルセーニエフ著/長谷川四郎訳 (発行河出書房新社1975/5/10)

明治のスキーの先達、猪谷六合雄の本を読んでいて、何度もシベリアの先住民猟師デルスー・ウザーラのことを思い出した。黒澤明監督が映画化したので、ご存知の方も多いだろうが、原作となったシベリア探検記は、この種の読み物の中でも抜きんでた傑作だった…

 『軌道エレベータ』 石原藤夫・金子隆一共著 (発行裳華房1997/7/25)

久しぶりに素敵なわくわくする夢を見させてもらった。子どもの頃にSF読物や手塚マンガなどを通して夢見ていた未来社会のテクノロジーが、ある程度姿を変えて実現するようになって以来、大人になって未来社会に架ける良い夢を見ることが少なくなった。 大人に…