武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 綻び始めた武蔵野の雑木林の花


 ここ何日か、異常なほど暖かい日が続いている。仲間と一緒にやっている雑木林を再生するボランティアの作業も、力仕事になると汗をかいて困るほどに暑い。落ち葉を掃いて、堆肥造りをやっていると、落ち葉の下から発芽した小さな木々が顔を出す。春の気配が次第に色濃く漂い出してきたのが感じられる。
 見つけた春の標を紹介しよう。手入れが進んで、日当たりがよくなったところで、可愛いピンクの花が咲いていた。名前は、ウグイスカグラ(鶯神楽)、漢字を当てると、雅楽が聞こえてきそうなほど可憐で優雅、まだ葉を着けていないのに花だけ先に咲き出した。


  莟(つぼ)みつつ うぐいすかぐら 日を待てる   井内



 雑木林の道路脇に、低く構えて、ヒイラギナンテン(柊南天)が黄色い花をつけていた。赤い実も美しいので、庭に植えられているのをよく見かけるが、雑木林の道路脇に進出していた。野鳥が実をついばみ飲み込んで運んできたのかもしれない。

 雑木林の奥の方、大きく育った木々に遮られて日当たりのよくなさそうな所アセビが花をつけていた。今は、花を着けていればおやおやと、珍しさが先に立って引き寄せられるが、これから一斉に草も木も次々と花を開く本当の春がやってくる。今日は、そのいくつかの先触れを紹介した。