武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

 『吉兆味ばなし一』 湯木貞一著(発行暮らしの手帖)

ついに食品偽造問題と残飯使い回し事件の当事者、船場吉兆が廃業するというニュースを見て、複雑な感慨を抱かざるを得なかった。5系統に分岐した吉兆グループに何があったのかなかったのか、船場吉兆だけのことなのかそれとも吉兆グループ全体が抱える膿があ…

 『美人論』 井上章一著 (発行リブロポート)

この著者はこれまでに人の意表を突く少し変ったテーマのもとに丹念に関連事項を取材して、興味深い本をものしている異才の研究者、発売された当初、書名が挑発的なだけにフェミニズム絡みでいろいろと話題になったらしい。女性の容貌に関する本かと思いきや…

 どこでもやってる、食べ残しの使いまわし

yahooのニュースを見ていたら、やっぱりそうか、と奇妙に納得する厭なニュースにぶつかった。飲食店における、客の食べ残しの使いまわし事例である。食品衛生法には、この件の想定がなく現状では法的に野放し状態。禁止にしなくても食のモラルとして何とかな…

 初夏の武蔵野、早朝散歩

何日か前から5時に目覚ましを合わせて、朝飯前の早朝散歩に出ている。天文カレンダーの日の出時刻をチェックしたらなんと4時30分ごろに今の武蔵野は日の出を迎えている。那覇は4時40分、札幌は4時5分。それと、今頃の日盛りは太陽光線が強すぎて、と…

 サザンオールスターズの活動休止の報道に接して

サザンオールスターズの活動歴は、78年の初シングル『勝手にシンドバッド』から数えて今年で30年になるという。一つのバンドの活動歴としては非常に長く続いたケースだと思う。これまでにも何度か自然休止状態があってファンはやきもきしたことがあるが、ど…

 エゴノキが花盛り、武蔵野の雑木林

5月の中旬になって、待っていたエゴノキの蕾が一斉に開きだした。一番日当たりのいいところではなく、二番目か三番目あたりの、やや控え目な場所にあるので、うっかりしていると気づかないで通り過ぎてしまうが、この時期だけは、足もとの薄暗がりに白い小さ…

 『ジャズ100年史』 ロイ・カー著 広瀬真之訳 (発行シンコーミュージック)

音楽の楽しみ方には、聴く楽しみのほかに、見る楽しみ、読む楽しみなどがあって、聴く以外の楽しみ方が音楽の楽しみ方の幅を広げてくれる。コンサートを生で楽しむほうが、CDを聴いているよりもはるかに楽しいのは、聴く以外の要素が興趣を盛り上げるから。 …

 『詩集「三人」』金子光晴/森三千代/森乾/著 (発行講談社)

詩人金子光晴の未刊の私家版詩集が、古書市で見つかったというニュースを聞いて、出版されないかと期待していが、今年になって本になった。戦争中の金子光晴の家族愛については、子どもを兵役から守るための行動や、発表のあてもなく密かに書きためていた疎…

 『ユーリ・ノルシュテイン作品集』 ユーリ・ノルシュテイン制作・監督 (DVD販売元:ジェネオン・ エンタテインメント)

ユーリ・ノルシュテインとい名のロシアのアニメ作家をご存知だろうか。抒情的で幻想的な映像作品が素晴らしい独創的なクリエイター。私は不覚にもつい最近まで、この名を全く知らなかった。図書館で借りた「世界と日本のアニメーションベスト150」という…

『家庭でできる愛犬のしつけ20の基本』 前田勇太郎&NHKペット相談プロジェクト著 (発行日本放送出版協会)

街を散歩していて気づくことだが、最近、犬を連れている人が非常に多い。そしてよく見ると、何故かどことなく連れている犬の雰囲気と連れている人の雰囲気が、似ているのだ。場合によっては、お顔までが似ていてニンマリしてしまうことが時々ある。あれは不…

 『草迷宮・草空間』 内田善美著 (発行集英社)

集英社の少女マンガ誌「ぶ〜け」に81年と84年に1回ずつ掲載され85年に単行本になった少女マンガ、20年以上前の古い作品だが、今読んでも十分に新鮮、繰り返し読んで奇妙な感覚を何度でも楽しんでいる。今では入手し難い古書なので推薦するのにチト気が引け…

 70年代のアニメの隆盛

この国のアニメの変遷を調べていて、テレビ朝日2002年7月28日放送のアニメソングベスト100という番組のデータに行き当たった。ベスト100に選ばれたアニメソングを、年代別に並べ替えてみて吃驚、60年代に始まったアニメ番組が70年代に入って一気に高揚してい…

 『サン・ジャックへの道』監督:コリーヌ・セロー (05年フランス映画)

スペインを旅行したことのある方ならご存知だろうが、この映画はフランスから「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」をたどる由緒正しいロードムービー、ロードムービという範疇に分類される映画は少なくないが、この映画はその中でもひときわ燦然と…

『サンチョ・パンサの行方−私の愛した詩人たちの思い出』 小柳玲子著(発行詩学社)

詩人石原吉郎の晩年の消息が知りたくて本書を手にした。題名の「サンチョ・パンサの行方」は、石原吉郎の第一詩集<サンチョ・パンサの帰郷>にちなんで付けられただけあって、本書の約半分が石原吉郎の思い出をめぐるエッセイ。著者が直接に見聞きした範囲…

 「面白本ベスト100」 北上次郎著(発行本の雑誌社)

以前にも「冒険小説ベスト100」なる同じ著者の読書案内を紹介したことがあるが、これはその続編。http://d.hatena.ne.jp/toumeioj3/20080326 北上次郎さんの面白い本を探し出す鑑識眼の確かさもさることながら、本を紹介する語り口が気に入っている。面白い…