武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

 『アルブレヒト・デューラー』 エルンスト・ヴィース著 相沢和子訳(発行エディションq)

昔の偉人の業績をいかに辿っても、その人間像に近づくことは難しい。詳細な評伝は限りなくその人物に接近する手掛かりになるが、それでも何だかもどかしい。そんな時、周到かつ巧緻に仮構された伝記作品が、もっと知りたいという心の渇きを癒してくれること…

 戦場ヶ原のホザキシモツケソウ

これまでも何度か7月の戦場ヶ原をハイキングしたことがあり、この季節、いたるところにホザキシモツケソウが見事な景観を作っているのを見たことがあったが、今年のようにほぼ文句のつけようがない状態を鑑賞したのは、初めて。花の持ちがよくて、8月に入っ…

 毒でも美しいバイケイソウ(梅形草)の花

先日、戦場ヶ原の木道を歩いていて、沢山のバイケイソウが花をつけているのを見かけた。時折、オオバギボウシという山菜と間違えて中毒騒ぎが起きるチト危ない植物。どちらも群落をつくり、見つけると大量に食べきれないほど取れるので、善意でおすそ分けで…

 『神々の山嶺』 夢枕獏著 (発行集英社)

奥付に97年8月発行とあるので、10年以上前にでた古い本、書店で平積みになっていたのを横目で見ながら、なぜか読まないできてしまった。夢枕獏の物語作家としての力量に感心しながら、これまで何作か読んできたが、延々と続く長い話を途中で投げ出して…

 猛暑を避けて奥日光へ

22日から26日まで、武蔵野の猛暑に耐えきれなくて、奥日光の中禅寺湖の畔へキャンプに行っていた。標高が1269mの湖畔のせいで、4日間の最高気温が26℃、快適な4日間を過ごしてきた。 滞在2日目の戦場ヶ原のハイキングで、夏の高原の草花を楽しんだ。7月…

『スズキコージズキンの大魔法画集』 鈴木康司著 (発行平凡社)

この素晴らしい画集の作者である鈴木康司さんは、絵本作家以外にも多彩な活動を繰り広げる、いわばマルチな造形作家と呼ぶしかないような多才なお人。今回は、そんなスズキコージとカタカナ読みするお方の、画家としての魅力を1冊に集めた魅力的な画集を紹介…

 『香水−ある人殺しの物語』 パトリック・ジュースキント著 池内紀訳 (文春文庫)

「パフューム ある人殺しの物語」という映画を先に見て、面白い映画だったので、原作に興味が湧いて読む気になった。映画と本を比較してみると、圧倒的な制作費をかけたと思われる見事な映像とスピーディーなストリー展開では、映画に分があり、丹念な時代考…

 『ナンプレ限界編』 堀内邦義著 発行廣済堂出版

これまで何度か数独やナンプレについて言及してきたが、今回は超難問、1問解くのに四苦八苦すること必至のパズルブックのご紹介。 この本は同じ出版社のナンプレシリーズ「傑作105選」の7冊目、最終巻にあたる位置づけのようだが、このシリーズは問題の難易…

 花と昆虫

イングランド中央部、ロンドンの北西方向、シェークスピアの生家があり晩年を過ごしたという、ストラトフォード・アポン・エイヴォンという町は、今ではシェークスピアとその一族にちなんだ史跡が売りの観光の街。 その街のシェークスピアの生家の中庭で見つ…

 ヨアヒム・ブーケラールJoachim Beuckelaer讃歌

ロンドンのナショナル・ギャラリーで見つけた16世紀フランドルの風俗画家、ヨアヒム・ブーケラールのことを調べようとしたが、日本ではあまりメジャーな画家ではないらしく、手持ちの西洋美術史を見てもみつからなかった。国立西洋美術館に1点作品があるよう…

 『スーツケース一杯の失敗』 アーマ・ボンベック著 中野恵津子訳 (発行文芸春秋)

アメリカの人気コラムニストが書いた毒舌と哄笑に満ちた家族の旅行エッセイ、失敗談を軸にしているので、思い当たるケースが時折出てきて、ほっとしたり呆れたり、海外旅行の好きな人にとっては読み出したら止められない好エッセイとなるだろう。 家族の歴史…