武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 エゴノキが花盛り、武蔵野の雑木林

 5月の中旬になって、待っていたエゴノキの蕾が一斉に開きだした。一番日当たりのいいところではなく、二番目か三番目あたりの、やや控え目な場所にあるので、うっかりしていると気づかないで通り過ぎてしまうが、この時期だけは、足もとの薄暗がりに白い小さな花びらが、降り始め頃の小雪のように散っているのですぐに見つかる。

 見上げると一面に花をつけたエゴノキが、かぶさるように枝を広げている。鼻に意識を集めてあたりの空気を吸い込むと、けっこう強い甘い芳香が漂っているのがわかる。風が吹くと流されてしまうが、頭上からゆっくりと花の香りが降ってくる感じがする。 (右の画像は雑木林の一角で咲き誇るエゴノキ
 今年出たばかりの真新しい新緑と、真っ白な花が好対照となって、なかなかの風情を繰り広げてくれる。花柄がか細くて花が重いため、全部の花が下を向いているので、下から見上げると無数の花が一斉にこちらを向いてくれる。風もないのに花柄を離れた花がひと固まりとなって、結構なスピードで落ちてくる、ひらひらとではなくてスーッと落ちてくる。分類ではこの種の花を合弁花というらしい。足もとがさらに白くなる。

 エゴノキの花の時期は短いので、来週になると鮮やかな白さに黄ばみが出て、ほとんどの花が落ちてしまはず。ボリュームのある咲き方をするので、雑木林を見かけたらちょっと立ち寄ってみると面白いはず。 (左の画像は、下から見上げたエゴノキの花)