武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 真夏の武蔵野、雑木林の彩り


 仲間と一緒にやっている雑木林の、不法投棄ゴミの回収に行ってきた。梅雨明け宣言はまだだが、武蔵野はすっかり夏模様、道端の雑草たちの元気なこと、凄まじいばかりに生い茂っている。まだ、蝉の声はほとんどしないが、梅雨が明ければ一斉に、大音響を響かせるようになる。
 夏草が茂って目隠しになっているせいか、不法投棄されたゴミはあまり見つからなかった。軽トラックの荷台が一杯にならないのは、久しぶり。これはとても良いこと。
 雑木林の中に、今を盛りに咲き誇っているヤマユリを見つけた。ヤマユリの茎は細いので、どの花もうつむき加減、一つの茎に一つの花をつけている。顔を近づけないと分からないほどのかすかな香り、艶やかだが清楚、俯いてきまり悪そうに咲いているのでいじらしい感じがした。
 雑木林では、ヤマユリは決して群れたりはしない。見たところ互いに2m以上の距離を置いて、道路に背をむけ、少し孤立した感じでひっそりと咲いている。自然の恵みだけを養分にして生きていくための方便なのだろうが、ささやかな孤立感がなかなかいい。細い茎にやっとひとつだけ蕾をつけて花開いたそのけなげさがたまらない。大勢でワイワイ言いながら見るにはしのびない。そんな風情で咲いていた。