武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 藤原真理 風の3部作

 3枚組みのボックスセットを十年ほど前に思いきって購入、以来ずっとこよなく飽きずに聞き続けてきたお気に入りCD。1と2は久石譲プロデュース編曲、3は三宅一徳編曲。
 藤原真理のチェロは元々叙情性あふれた切れのあるやわらかい音色をもち、小曲をしみじみと聞かせる抜群の音楽性をもっていた。私のお気に入りの日本人チェリストの一人だったが、このセットによっていつも身近に藤原真理を響かせることになった。特に1枚目の7番の「甘き春に」は、まるで天国に差し込む夕暮れの暖かい日差しの揺らめきのよう、なんともふんわりしたいい気持ちになる。たった1分30秒のこの曲を一体何回聴きかえした事だろう。マーラーの夢の中の虹のように美しい小曲も2曲入っている。どれをかけてもいつの間にか時間がたっていて聞き飽きない。爽やかなそよ風のようなやさしいチェロ名曲集。手放せないCDだ。以下に、3枚の曲目を紹介しよう。

DISK1 風−ナウシカの思い出に捧げる
 《風の谷のナウシカ》より5つのメロディー〔組曲〕(久石譲)
1 I 風の伝説
2 Ⅱ はるかな地へ
3 Ⅲ レクイェム
4 Ⅳ 遠い日々
5 Ⅴ 谷への道
6  鳥の歌(カタルーニヤ民謡)
7  甘き春に(カルミナ11世紀)
8  ウォーキング・イン・ジ・エア・アニメーション『スノーマン』より
9  緑の森を楽しく歩いた(マーラー)
10 野性のエルザ(ジョン・バリー)
11 グリーン・レクイエム(久石譲)〜映画rグリーン・レクイエム』より
12 空と太陽と海(フランソワ・ドウゲルト)
13 ラルゴ(ヴィヴァルディ、協奏曲集『四季』〜「冬」より

DISC2 風のメッセージ
1  風のとおり道(久石譲)アニメーション『となりのトトロ』より
2  春の朝(マーラー)
3  イカルス(ラルフ・タウナー)
4  ギリシャの海(マノス・ハジキダス)
5  子熊物語〜映画『子熊物語』より(原曲:チャイコフスキー舟歌』〜『四季』)
6  森の静けさ(ドヴォルザーク)
7  バイレロ(オーヴェルニュの歌より)
8  フラジヤイル(スティング)
9  モア(リズ・オルトラーニ、ニーノ・オリヴィエロ)映画『残酷物語』より
10 イマジン(ジョン・レノン)
11 風のとおり道(version 11)(久石譲)

DISC3 風のかたみ〜宮沢賢治へのオマージュ
1  風の又三郎(詞:宮沢賢治/曲:杉原泰蔵)〜映画「風の又三郎」(1940)より
2  レター・フロム・ホーム(パット・メセニー)
3  春(グリーグ)
4  ノクチュルヌ(ハチャトウリアン)組曲「仮面舞踊会」より
5  老人と海(ブルース・ブルートントテレビ映画「老人と海」より
6  マルセルの夏(ウラディミール・コスマ)〜映画「マルセルの夏」より
7  イルカの日(ジョルジュ・ドルリュ)〜映画「イルカの日」より
8  ウオーター・マーク(エンヤ)
9  ダンス・クイズ・ウルヴズ(ジョン・バリ一)映画「ダンス・ウィズ・ウルヴズ」より
10 チコと鮫(フランチェスコ・デ・マーシ)映画「チコと鮫」より(南 安雄、三宅一徳・編)
11 小さなヘビ(マノス・ハジダキス)
12 ノクチユルヌ(フォーレ)〜組曲シャイロック」より
13 「裸の島」の主題によるパラフレーズ(林光)(1987)
14 星めぐりの歌(詞、曲:宮沢賢治)