武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 ネジバナの開花

 駐車場わきの芝生を見たら、去年と同じ場所にネジバナが可愛らしい花をつけていた。去年の記録を見ると、6月18日。1日違いだ。こんなに正確に花を咲かせるなんて、不思議。ネジバナは地下に茎があって、季節が来るとそこから芽をだして、地上に出てくるらしい。

 びっしりと網目を組んでいる芝生の僅かな隙間が好みらしく、近所の芝生でも同じような時期に花をつけ、年を追って仲間を増やしている。相当に丈夫な生命力を持っているようだ。分類ではか弱い優雅なランの仲間らしいが、唯一、絶滅の心配が全くない種類だという話を聞いた。
 別名「もじずり」とも呼ばれ、百人一首河原左大臣の歌が有名、
 「みちのくの しのぶもじずりたれ故に 乱れそめにし われならなくに」
 この<しのぶもじずり>が何を意味するのか、定説は、まだ定まっていないらしい。
 戯れに、ネジバナの別名と解して、恋のために身も心もこの花のようにねじれて乱れ苦しんでいる若者を想像すると、ちょっと楽しくなる。このような歌を贈られた女性に想像を広げるてみる。どんな女性だろうか。笑いさざめくようなネジバナの花の列から、可憐で良く笑う、朗らかな娘さんだろうか、それとも、美人だがこのネジバナのように性格がねじれていて、男をきりきり舞いさせるような悪女だろうか。
 私は、あるがままのネジバナが気に入っている。