武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 《イタリアの反喫煙法見聞》

 今回の南イタリア旅行でおどろいたことの一つに、ついに踏み切った反喫煙法の施行がある。02年のWHOの喫煙規制枠組み条例を受けてその年の12月に、反喫煙法が成立、05年の1月から施行に移されたもの。幸いにも同じツアーのメンバーにひとりも愛煙家がいなかったからよかったものの、大変に厳しい喫煙規制の国に変貌していたのには吃驚。そのせいか、以前に北イタリアを旅行した時には、歩行喫煙なんのその道端の吸殻の酷さ、若者の喫煙マナーの悪さが気になったが、今回はさすが、レストランやカフェはもとより、屋外でも喫煙者の姿を見かけなかった。平気で法を破るとされていたイタリアですら、禁煙法の威力は抜群の効き目を発揮しているようで、感心したことだった。
 気になったので、帰国してからイタリアの反禁煙法を調べてみたが、条文そのものは見つからなかったが条文を要約したものが見つかったので、あるサイトのものを引用しよう

『法律(第51条)の主旨』
1.目的: 受動喫煙(間接喫煙)から非喫煙者の健康を守ること
2.喫煙可能な場所: 屋外、自宅、喫煙室(詳細省略)。左以外は完全禁煙。
3.罰則 (1)禁煙違反者: 27.5〜275ユーロ
(2)禁煙を守らせない経営者・管理職: 220〜2200ユーロ
(3) 喫煙室の施設条件が、法律の規定に従っていない場合: 330〜3300ユーロ
【注1】その場に妊婦や12歳までの子供がいた場合、上記金額はそれぞれ2倍となる。
【注2】禁煙違反者に対し、まずレストラン等経営者・管理職は警告を発し、それでも喫煙をやめない場合には警察に通報する義務がある。また、 禁煙違反に気づいた一般の客等も自ら警察に通報することが出来る。
【注3】レストラン等経営者・管理職に喫煙室の設置義務はない。

 いかがですか。なかなか厳しい内容ではありませんか。現地では、さっそく違反者が出て罰金が課されているもよう。子どもや妊婦が同席していたら罰金が2倍になるというところが面白い。ただし、飲食店の経営者からは反発の声が上がっていると言う。
 このような禁煙法制定の動きは、徐々に世界的な傾向になりつつあるようだ。02年に発効したWHOの「喫煙規制枠組み条約」が効き目を発揮してきているらしい。外務省の以下のサイトに喫煙規制枠組み条約の条文と解説がアップされているので興味のある人は見て欲しい。相当に徹底した内容となっている。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty159_17.html
 この国では、健康増進法などという不徹底な法律でお茶をにごして済ませたが、この動きはやがてEU全体に波及していくことになるだろう。今後の喫煙規制の動向に気をつけておきたい。