武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 9月第4週に手にした本(19〜25)

*同じ本を買ったり、何を読んだか忘れたりするようになってきたので、読んだり読みかけたりした本を備忘録としてメモしておくことにした。週1で更新していこう。
ウンベルト・エーコ著『美の歴史』植松靖夫監訳、川野美也子訳(東洋書林2005/11)*引用されている図録とテキストの豊富で多様なこと、エーコの視野の広角度ぶりに感嘆。美しさの周辺を隈無く照射して悪や醜に説き及ぶ様が見事。
◎ジェームズ・ゴードン・フィンリースン著『ハーバーマス』村岡晋一訳 (岩波書店2007/10)*体系的かつ難解なハーバーマスの世界がスッキリと整理されていて分かりやすい。入門書のお手本のような本。
◎ユルゲン・ハーバーマス著『イデオロギーとしての技術と科学長谷川宏訳(紀伊国屋書店1970/6)*ハーバーマスの初期の社会哲学的な論文集、比較的分かりやすい。
◎ユルゲン・ハーバーマス著『事実性と妥当性― 法と民主的法治国家の討議理論にかんする研究(上)(下) 』河上倫逸 、耳野健二訳(未来社2002/11)*難解さもここまでくると立派、この世界に踏み入るには知力と体力が必要、今の私には無理。全体を俯瞰したのみ通読は断念。
◎遠藤展子著『父・藤沢周平との暮し』(新潮社2007/1)
◎遠藤展子著『藤沢周平 父の周辺』(文藝春秋2010/1)*藤沢周平の全作品を読んでしまったので、周辺を知りたくて手にした娘さんの思い出話。ほのぼのと読める。
ドン・ウィンズロウ犬の力(上)(下) 』東江一紀訳(角川書店2009/8)*プロットが強烈、視点人物の転換が煩わしく、沢山の人が死に過ぎるので、読後感は複雑、風土の違いを痛感。
宮木あや子著『野良女』(光文社2009/7)*現代を生きる女性像の連作短編集、言語表現がきつくて、読み進めるのが辛い。この作家の使う日本語の痛々しさ、これも才能だろうか。NHK週間ブックレビューのゲストぶりを見て手にした。
三井環著『告発!検察「裏ガネ作り」 』(光文社2003/5)*話題の検察庁の裏幕物、割り切った著者の心理についてゆけないものを感じた。大阪検察庁問題に揺れた週の読書としてはタイムリー過ぎたかも。
◎李賀著『李賀歌詩選(1) 』原田憲雄訳注(平凡社東洋文庫1999/2)* 題名からその注・解説、本文の訳文、原文、注と解説へと展開する流れが、一連の物語のように読める傑作。記述に流れる不思議な連続性はどこから来るのか。注を読み進む楽しさを知った。また、訳文が見事、難解な李賀の世界への最良の入門書であると同時に最高の研究書でもある、凄い本。
◎加納敏著『数の遊び 魔法陣・図形陣の作り方』(冨山房1980/12)*この本は読書レビューでとりあげる。