武蔵野日和下駄

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 誰もが名前だけは知っている鳴門(ナルト)の渦潮観光(画像は渦の道から見下ろした観光船と渦潮)

toumeioj32006-03-30

 この日は、国民的な知名度をもつ鳴門海峡の渦潮を見物することをメインに行動した。以前にもツーリングでこの近くまで来ているが、時間の都合で渦潮なるものを見逃してしまっていたので、今回は2度目の正直と言ったところ。
 大潮の時刻までに余裕があったので、大鳴門橋架橋記念館に入り、<大鳴門橋>について見聞を広めることにした。Wikipediaにこの橋の概要が分かりやすく出ているので引用させてもらうことにする。現在は自動車道だが、鉄道開通の課題が興味深いので、そっくり引用させていただこう。

橋長は1,629m、中央径間は876m、幅は25m、主塔の高さは144.3m。橋は上下2層式となっており、上部は片側2車線の道路、下部は将来的に鉄道 (四国新幹線)を通すことが出来る構造となっているが、明石海峡大橋が道路単独橋で建設されたので、神戸からの鉄道が大鳴門橋に通じる可能性はなくなってしまった。なお、紀淡海峡に鉄道を通し、和歌山から鳴門に至る鉄道について、大鳴門橋を活用しようとする模索は続けられているものの、徳島県では開通時期の目処が立たない鉄道に見切りをつけ、橋の鉄道空間に徳島県立渦の道を建設。鳴門公園の新たな観光スポットとして人気を集めている。
大鳴門橋に新幹線を通すことについては以下の問題がある。
①瀬戸大橋の例でも明らかなように、騒音問題がもっとも大きな問題である。大幅な減速(70km/hまで落とす)は避けられない。
②騒音問題を無視したとしても、後述の通り常に強風にさらされ、運休が多発する可能性が高い。そのうえ吊り橋の上では高速走行時の安定性が悪いため、160km/hが限界と言われている。
本州四国連絡高速道路が管理しており、本州と四国を結ぶ三つの本四架橋ルートの一つである神戸淡路鳴門自動車道として供用され、四国地方近畿地方の交通の要になっているが、地形上風が強く、速度規制(通常時70km/h、規制時40km/h)がよく行われる区間でもある。
④淡路島-鳴門間はフェリー航路(日本初のフェリー)が廃止され、この橋以外に渡航ルートが無く、歩行者、軽車両、原動機付自転車小型自動二輪車、ミニカーで淡路島-四国間を行き来することができない。西瀬戸自動車道同様に専用道路を設置してほしいという地元住民の声が多いものの設置予定自体が無く、モータリゼーション問題を象徴するような橋になっている。

 館内の展示で大鳴門橋の技術的概要を知り、鳴門の渦潮のムービーと展示を見てから、橋の下に設置された<渦の道>へいってみた。
 全長1kmほどの舗道が鉄橋の下に取り付けられていて、そこを延々と歩いて渦潮発生地点の真上まで行けるという仕組み。この<渦の道>部分が、徳島県側が鉄道開通に見切りをつけたという鉄道空間部分。列車が走ることを予定していたところを人間が歩いて渦潮を見物に行くための舗道に転用したところ、事情と経緯を知っているといっそう興味深い。できたら橋全体を歩いて渡れるようにしてもらえるともっとうれしい。多分、横風の抵抗を減らすためかと思うが、舗道の両脇は丈夫な金網で覆ってあり、風が吹き抜ける仕掛けになっている。この日は、日本列島全体に北からの寒気が覆いかぶさり、10度前後の異例の寒い日、小雨交じりの鉄橋下の舗道を震えながら歩いて、12時40分頃の大潮時刻に合わせて、渦潮観光ポイント上に到着。
 所々ガラス張りになっている床の覗き窓から下を覗くと、遥か下の目のくらむような海面が白い波を沸き立たせて渦巻いている。アキレス腱から太もも、背骨にかけて高所恐怖症の感覚がじわりと這い上がってくる。高いところが苦手な方は、この道を歩かないよう気をつけたほうがいいかもしれない。何十メートルあるか分からなかったが、確かに、遥か下のほうで激しく潮流がぶつかり合い波立ち渦巻いていた。
 以前に来たときは鉄橋もなく、こんなところから渦潮を観光できるなんて想像もしなかった。見ていると、観光客を満載した観光船が波立つ渦潮の辺りを周回している。上からでは聞こえないが、そばで見れば潮流の音響効果もなかなかのものだろう。見ていると、確かに渦巻き模様が時々発生しては消えたりしている。写真で見るような見事な渦巻きにはなかなかお目にかかれそうになかったが、小さな渦巻きは確かに何度も発生していた。
 渦潮を観光した後は、周囲一帯が鳴門公園として開発され、丘の峰に遊歩道が整備されているので、そこを歩いて周辺の展望を楽しんだ。