武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 季節限定の夜桜名所、所沢市内を流れる東川沿いの桜並木(画像は下から見上げた桜のドーム、ソメイヨシノは隙間から空が覗ける、花に包まれた空間が息を呑むほにゴージャス)

toumeioj32006-04-04

 花の季節に吹き荒れる風もおさまったので、夕方から夜桜見物に出た。航空公園の南側をささやかに流れる東川沿いの桜並木が見事なので、例年頃合いを見計らって見に行くことにしている。市がバックアップした町内会の企画だと思うが、延々約3kmにわたって花見用の雪洞をつらね、所々に照明などをほどこし、町内で自慢にしていることがよく分かる舞台設定。
 ここの桜は、根元の直径が1mほどもある巨大な桜の古木が、植えられている間隔が丁度よくて、大きな桜のドームを連ねているところ。満開の桜が丸い花の天井を作り、1本1本の桜がドーム型の満開の空間を作り出している。下から見上げると、意外なほど広い花の奥行きがなんとも言えず豪華。そんな豪華なスペクタクルが延々と3km以上続いている。桜の本数は400本ほどらしいが、もっとありそうな気がする。
 ささやかだが小川が流れているので、かすかなせせらぎのBGMを伴奏に歩くと、心なしかほんのりと桜の香が漂ってくる。この日は、満開を僅かばかり過ぎたかなという木もあり、花びらが散り始めていたので、水面は花びらの絨緞を敷き詰めたような見事な流れ。場所によっては、市が設置したと思われる遊歩道があり、車の往来を気にしないで歩けるところもある。面としての広がりには欠けるが、長い長い桜並木の帯びの展開は、もっと自慢してもいいような気がする。
 調べてみたら東川は、荒川水系の立派な1級河川、桜並木は東京オリンピックを記念して植樹されたものらしい。東京オリンピックは1964年、ということは、植樹されてから40年以上経つことになる。見事な大木になるわけだ。ソメイヨシノの寿命は短命で60年説というのがあるそうだが、たとえその説どおりだとしてもまだまだ楽しめそうで一安心。
 この東川の桜並木、何よりも素晴らしいのは、桜の樹木そのものが巨大で見事なこと、こんなに大きな桜が何本も連なっているところは、他では見たことがない。水辺で育つ生育条件がいいのか、年を経てくたびれるはずの老けたやつが元気に花を付けている。しかも飛びっきりの豪華版。この時期、お近くに来られたら是非お寄りいただきたい。航空公園の無料駐車場に車を置くと便利です。