武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

『夜のパリ』ジャック・プレベール(画像は、散歩の途中で見かけたあでやかなスイセン)

toumeioj32006-04-03

 蔵書を整理をしていたら、詩のアンソロジーが出てきた。ペラペラとめくっていたら、懐かしいプレベールの詩が注意を引いた。以前に読んで、何というフランスの粋な表現かと、心底感じ入った一編。モンタンがシャンソンで歌い、ご存知の方も多いと思うが引用してみよう。
 渋い声でこんな台詞を耳元でささやかれたら、多くのご婦人方は、とてもたまらないのではないか。その一方、余りに気障で蹴飛ばしてやりたくなるかもしれないとも思う。では。

『夜のパリ』  ジャック・プレベール


夜の中 三本のマッチを擦る 一本また一本と

一本目は隈なくきみの顔を見るため

二本目はきみの目を見るため

三本目はきみの唇を見るため

そして真暗闇はそれらをすべて思い返すため

きみをこの腕の中に抱きしめて