武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 『ナンプレ 中毒確実 脳を鍛える数字パズル』ウェイン・グールド著(角川文庫)

toumeioj32006-04-02

 旅行の数日前頃から、定年退職者らしいことは何か考えて、非生産的な純粋な暇つぶしの娯楽がいいだろうと思いつき、このパズルを選んでみた。何年か前に世間で評判となり、今では数冊の月刊誌すらでているナンバープレーズ、略してナンプレ、九九81枠の隙間のあるわくに、論理のみに従って数字をあてはめるだけのいたって単純な数字遊び。以前、通勤電車でやっている人を見かけたが、夢中になっている姿をみて面白そうと思ったことがあったが手を出さなかったもの。
 さっそく始めてみたが、これは嵌る。定価400円で100問のパズルが楽しめる。最初は慣れないために時間がかかり、羽田から徳島までの飛行中の時間、たっぷり楽しんだ。完全に答えがあることが分かっているこの種のパズルは非生産的この上ないが、誰にも迷惑をかけない純粋遊戯、退職者がやっていると、ピッタリ絵になると思うがどうだろう。
 その昔、高校生だった頃、真夏の暑い日、数学の問題集のページをパズル感覚でこなして、密かに楽しんでいた頃を思い出した。確実に正解があり、その解決方法も学習済みで、解き方の練習となれば、パズル感覚でやるしかなく、そうと割り切ってしまえば田舎の高校生にとって、それはそれで楽しめる非生産的なパズルとなった。数学で遊べるなんて生意気なこと誰にもいえなかったが、頭の一部分しか使わなくていいので、一時期夢中になったことを思い出した。
 このナンプレ、難易度にレベルわけできるらしく、この文庫では初級編が4問、中級編が26問、上級編が45問、プロ級編が25問、全部で100問出ている。間もなく中級編が終わろうとしているが、時間の経過を忘れてしまい何か失敗してしまいそうなほど楽しめる。
 非生産的で意味のない純粋なお楽しみの時間をお過ごしになりたい方にお勧めだが、時間がもったいないという方には毒になるので決してすすめられない1冊。