武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 エジプト旅行③


 深夜の1時に起床、カイロのホテルを2時に出て空港へ、国内線で1時間半の夜間飛行でアスワン着が5時半、アスワンの空港からバスで移動して日の出の時刻にアスワン・ハイ・ダムを観光、全長3.6kmの巨大ダムの上はたっぷり二車線ほどもある車道が通り、途中に休憩できるパーキングがある。日本のダムと比較して、大きさの割には高さはそれほどでもない。長い堤防がひたすら横に伸び広がっている。この巨大ダムが、功罪両面から議論の対象になることが多いが、ナイル川の特殊事情を考えると、単純に割り切ることはできない。 (画像は、アスワン・ハイ・ダム上の幅広い車道、パーキングエリアで休憩)

 続いて、バスで移動、アスワン・ハイ・ダムによってできたナセル湖の小島に移築されたイシス神殿を観光。多神教古代エジプトの神殿は、いたるところ神々と王様たちのレリーフだらけ。歴史時間を紀元を折り目にして二つ折りにして、現在よりも先の位置にある古代エジプト文明のなんたる遼遠なこと。様式化された特徴的なレリーフが午前の斜めの光線をうけてくっきりと壁から浮き上がる。その見事さに息を呑む。 (朝日にくっきりと浮かび上がるイシス神殿のレリーフ
 午後は、アブシンベルへバスや車が集団をなして(コンボイを組む)、ひたすら何もない砂漠の道を疾走、先頭を走るのはパトカー、観光バスの各車には、一人ずつツアー専用ポリスが乗って、がっちり警備された観光客の群れが、蟻の行列のように移動してゆく。砂漠の遠くに、蜃気楼がうかび、居眠りしていても、頭のどこかにかすかに緊張感のように張りつめた感覚が目覚めている。砂漠の走行が約3時間ノンストップ、こういう不思議な感覚のバス旅行は初めて。 ]
 アブシンベルのリゾート風のホテルで一休みして、アブシンベル神殿を見にゆく。この神殿も、内部の柱も壁面も一面のレリーフが施されていて見事、松明と太陽光線以外に照明のすべを知らなかった時代、レリーフ彫りの作業のいかに困難だったことか、気の遠くなるような時間と労力をかけただろうことを想像して、思わずため息が出た。大神殿も小神殿もともに砂漠を越えても見にくる価値は十分にある。 アブシンベル神殿は大勢の観光客で大賑わい)
 夕食の後、歩いて神殿前にゆき、「音と光のショー」なる観光客相手のショーを見た。大神殿の丘と小神殿の丘をスクリーンにして、音響効果と照明を駆使した歴史絵巻といえばいいか。日本語バージョンだったので、内容がよくわかった。それだけこの日、日本人観光客が多かったということ。
 この日の日程のすごかったこと、午前1時から午後8時過ぎまでの強行軍、高齢者を含む一般人の旅行として、チト無理があったのではないかといくつかのグループで話題になったほど。