武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 エジプト旅行⑧


 アレキサンドリアは、アレクサンドロス大王が建設した町だが、紀元前からの地中海の国際都市として栄えてきた大都会。意外にちゃんとした形で残っている見るべき遺跡にとぼしい。図書館好きの私としては、紀元前に失われた世界最大の蔵書を誇った伝説のアレキサンドリア図書館がかつて存在した土地として印象強い。 (画像は、新築された現在のアレキサンドリア図書館、伝説の古代図書館のイメージからほど遠い)
 この日の観光は、朝一番にカイトベイの要塞を見る。古代世界の七不思議の一つと言われたファロスのあとに建てられた要塞、現在は海軍博物館になっているらしいが、入館しなかった。続いて、朝一番に、カタコンベ墓所観光、古代に貴族が遺体を盗掘から守ろうとした仕掛けが面白い。3世紀以降は一般の共同墓地として使われていたたしいが、墓地のマンションといった感じ。深い深い穴を掘り、それほどまでのことをして遺体を保存しようとする、古代のエジプト人の死生観の強烈さにうたれる。
 次に行ったポンペイの柱は、大きな柱が小高い丘の上に一本ぽつん、小さなスフィンクスもあるが、遺跡自体は往時の見る影もない。古代ローマの時代、巨大なディオクレイヌスの図書館の柱としてつかわれていた400本の1本らしいが、何もない小高い丘だけなので当時を想像するのが難しい。

 バスで移動して、アレキサンドリア国立博物館をみた。ここはかつてのアメリカ大使館だった建物。地下3階地上2階の立派な建物。地下は古代エジプト時代、地階が古代ローマ時代、2階はより近い時代の展示、地下3階の大使館時代に地下要塞に使われていたらしい部屋が面白かった。 (地下の展示で見たミイラの入れ物、いちばん内側にミイラを入れて、何重もの入れ物を重ねてミイラを保護していたもの、大変に美しい入れ物)
 地中海に面した地理的好条件のせいか、何度も権力の侵攻に踏み荒らされ、形をとどめている遺跡が多くない。ピラミッドも神殿も、砂漠の中にあったからこそ保存状態良く残ったことが、ここにきてみてよくわかる。
 昼食もあと、伝説のアレキサンドリア図書館の横を通り、2時間半かけてカイロに戻る。
 夜は、ナイル川のクルーズ、クルーズ船から見た川岸の夜景がきれいだった。