武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 雑木林の新芽が美しい


 武蔵野の雑木林が、一斉に薄い黄緑色に包まれてきた。落葉する広葉樹は、秋に葉を落とし、春になると新しい気孔がつまっていない新鮮な若葉を芽生えさせる。素晴らしい衣替えの摂理。落ち葉を踏みしめて歩いていると、遊びにきた野鳥の囀りに包まれ、何ともいい気分、春の喜びを体感する。
 新芽は、葉っぱが薄いので、日差しが当たると透き通り、葉脈が浮き出し不思議な模様を見せてくれる。触ると柔らかくて、摘み取って食べてしまいたくなる。
 咲きだした色とりどりの花々ももちろん美しいが、この時期の新芽、若葉の美しさを是非味わってみてほしい。生まれたての赤ん坊のやわ肌のように初々しいい新芽の鮮度、新しい命の形を目にできるのは、この時期が一番。柔らかい産毛に縁どられて、新しい世の中に手を差し伸べる植物の命。高齢者の眼には、文字通りの眼福として映るのだが。