武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 ギリシャ旅行8日間③


 前日のうちにカランバカから約200km移動してデルフィに宿泊、この日は、デルフィ博物館の見学とデルフィ遺跡観光。
 まずは遺跡から出土した品々を納めて展示してある博物館、アルカイックな微笑を浮かべた彫像のほかにも、ハッキリとした表情豊かな彫像が多く、ヨーロッパ美術の起源がとなった古代ギリシャの表現レベルの高さがよくわかる。
 神託が行われていたその場所にあったという「大地のヘソ」なる置は、小さかったのが意外だった。目印という意味にしてもささやかな置物。私はむしろ豊かな表情をもつ彫像の素晴らしさに目を奪われた。 (遠くに視線をのばす御者の青年のブロンズ像、きりっと口元のしまったなかなかの美青年)
 神殿の方は、嶮しい山肌を背景に、山の斜面を切り開いた場所に築かれた、技術的になかなか高度な建築物という気がした。わずかな部分しか残っていないので、想像をたくましくして思い浮かべるしかないが、古代ギリシャ世界の中心地として、華麗な神殿が存在していて、嶮しい山道を越えて神託を受けに人々がやって来ていた時代を想像してみた。
 中世の宗教生活以上に、世界観そのものが多神教ギリシャの神々によってつくられていた古代の人々の生活に占める神殿の地位の高さを思って、ため息が出てしまった。 (嶮しい山中に築かれたギリシャ世界の神託の発信地、山岳信仰にも一脈通じる、山奥に築かれた神殿跡)