武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 インドツアー印象記(7)


 ガイドの言うには、この日の観光は前日の長距離移動の疲れが吹っ飛ぶような、素晴らしさだという、寝不足の目をこすりながらバスに乗り、目的地へ。
 この日の<観光した世界遺産その10>はカジュラホ寺院群、登録基準の1番と3番あたる。この世界遺産は何よりもカーマスートラの性愛の世界を反映したエロチックなレリーフで世界的に有名、だが、とかくそちらの方に目が行きがちだが、晴れ渡った北インドの冬空の下、寺院自体の大きさと造形全体の余りの素晴らしさの中で、一部の彫刻のエロチックさはそれほどでもない。寺院全体の圧倒的な造形的な迫力が何よりも凄い。
 とりわけ凄いのは寺院の屋根を飾る幾何学模様の装飾、見上げて目を凝らしていると、屋根としての機能を完全に放棄した、信仰に捧げられた建築物の途方もない豪奢に、頭がくらっとしてくる。幾何学模様に吸い込まれそうになる不思議な錯覚にとらわれる。 (右の画像をクリックして是非オリジナルサイズで見て頂きたい、屋根のドームの装飾が凄い)

 対象となっている信仰は、東側のヒンドゥー教と西側のジャイナ教の両宗教が入り組んだ寺院群らしいが、ほとんど違いはわからなかった。現地ガイドの説明が、ジョークを交えた巧みな日本語だったので、笑いながら見まわって、少し昨日の疲れを忘れた。 (有名なエロチック彫刻は、無数の群像のほんの一部、生活のすべての場面を装飾として使うという方針からきた必然だった)
 午後は、インドの新幹線という触れ込みの列車でアグラへ移動。