武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 南インドツアー印象記(6)


 この日はウォータークルーズの終点アレッピでハウスボートを下りてバスに乗り、午前中いっぱいを使って古くから港町として栄えてきたコチンへ移動、昼前にホテルに着き、一休みしてコチン市内観光へ。
 最初に行ったのは、16世紀のポルトガル植民時代と17世紀のオランダ植民時代の名残を残しているその名も<ダッチパレス>という古びた二階建ての建物の見学、中に入るやいなやかび臭い古い時代の匂いと中にこもる高温多湿の空気に包み込まれた。時代物の古い家具や歴代の提督の肖像画があったりするが、汗だくで鑑賞するには、かなりつらいものがある。監視員が古い扇風機の風下から離れない理由も分かる気がした。
 次に行ったのは直ぐ近くにある、ユダヤ人街の名残り<シナゴーグ>、かつてこの町に南アジア最大のユダヤ人街があり、スパイスの交易で栄えたという。

 しばしの休憩の後、ヴァスコダガマが最初に葬られたという聖フランシスコ協会をみた。小さな協会で、インドが植民されていた古き時代を象徴する建物。
 その後の散策の折、海辺で<チャイニーズ・フィシング・ネット>の実演をみたが、チップを渡して直ぐに引き上げた。

 夜は、<カタカリダンスショー>を見に行った。伝統的な民族舞踊なのだろう、入念なメーキャップに始まり、指や目玉のパントマイム、太鼓のリズムに乗って踊る二人の男性ダンサーによる歴史劇の無言劇だったが、あまり感心しなかった。料金を取ってみせるにしては、もう一つ工夫が足りない感じがした。

 コチンで一番驚いたのは、至る所にあるレインツリーの巨木、花はネムノキによく似ているが、ネムノキと同じ仲間に属する和名アメリネムノキだった。以前「この木何の木」と言うCMで評判になった木と同じ種類。街の至る所に生えていて、大きく枝を広げて見事に成長していた。気候にあっているのかどの木にも精気が漲っていた。