武蔵野日和下駄

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 鯨肉給食が復活しているって本当?鯨肉の水銀汚染は大丈夫?

少し古いニュースだが、我が目を疑うような記事が、東京新聞に掲載された。何と、いつの間にか小中学校の学校給食で、鯨肉を食材にしたメニューが復活してきているらしい。しかも、昔の給食に出たような<竜田揚げ>のメニューが多いと言うから吃驚。
確かこの国では調査捕鯨という名目でしか、鯨を捕獲していないとばかり思っていた。5千校もの給食の食材として使えるほどの量が確保できるのかしら。共同通信が配信する一部のメディアにしか載らなかったので気付かなかった人も多いのではないか。直に消えてしまいそうなニュースなので、全文を東京新聞から引用させてもらおう。

鯨肉給食 5000校超 小中校18%で復活 (東京新聞2010年9月5日 朝刊)
 一九八七年の南極海での商業捕鯨中止などで激減した鯨肉の学校給食が徐々に復活、給食を実施している全国の公立小中学校約二万九千六百校のうち、二〇〇九年度に一度でも鯨肉の給食を出した学校は、18%に当たる五千三百五十五校に上ったことが四日、共同通信のまとめで分かった。
 鯨肉の給食は一九七〇年代まで大半の小中学校で一般的だったが一時激減。復活したのは日本鯨類研究所が調査捕鯨で捕獲した在庫がだぶつき、消費拡大のため給食用に割安で提供されていることや、食文化を継承したいとの自治体側の思惑が背景にあるようだ。
 調査期間は六〜八月。給食に出した学校の内訳は小学校が四千九校、中学校が千三百四十六校で、四十都道府県に上った。
 使われる鯨肉は南極海で捕れたクロミンククジラなどで、特定の業者を通じ学校に渡っている。鯨研によると、昨年の市価は一キロ当たり二千六十円だが、給食用は三分の一に割り引いた。捕獲量の3〜4%に当たる約百五十トンが学校給食枠。
 まとめでは、鯨肉の給食再開は〇五年ごろから増え始めた。鯨研は同年、生息数増加などを理由に捕獲数を拡大している。
 メニューは竜田揚げが目立ち、ケチャップなどでつくるオーロラソースあえやカツもあった。捕鯨で知られる和歌山県長崎県は「食文化を伝えるため提供している」と説明。出していない自治体からは「単価の面で提供が困難」(仙台市)などの理由が挙がった。
 都道府県や政令市、学校給食会に取材し、そのレベルで把握していない二十五県については八百六十九市町村に直接尋ね、二市以外から回答を得た。
◆需要なく給食処理
 環境保護団体「グリーンピース・ジャパン」の星川淳事務局長の話 調査捕鯨で捕れた鯨肉の在庫は常に一年分程度あり、ニーズがないのに捕獲し続けていることは明らかだ。一般には買ってもらえないので、学校給食を狙い需要があるように見せ、処理しているのではないか。国際問題になっていることや、税金を投入した完全な国営事業であるという背景がきちんと子どもたちに伝えられているか疑問だ。
◆食文化勉強の機会
 総合地球環境学研究所の秋道智弥副所長(生態人類学)の話 日本人は縄文時代には既に鯨を食べている。鯨食は野蛮だとの意見もあるが、食は地域の文化であり、何が特殊かは一概に言えない。他の民族が食べない動物を食べる民族もいるため、食は文化の偏見につながることもある。小中学生が鯨をめぐる問題や背景を知って、時代を読み解く勉強の機会にすべきだ。

これもやや古いニュースだが、同じ共同通信が配信した鯨肉関連の気になるニュースを思い出したので、全文引用しておこう。この二つのニュースを並べてみると、大丈夫なのかなという心配な気持ちが頭をもたげてこないだろうか。

毛髪の水銀濃度平均の10倍 鯨肉消費多い太地町(2010/01/22 02:02【共同通信】)
 沿岸に生息する小型鯨の一種、ゴンドウクジラの肉などを食べる機会の多い和歌山県太地町の住民の毛髪中水銀濃度は、日本の平均値の約10倍と高く、肉に含まれる高濃度の水銀が原因とみられるとの調査結果を北海道医療大(北海道当別町)と第一薬科大(福岡市)などのグループが21日までに突き止めた。海洋汚染に関する国際雑誌に近く発表する。
 グループの遠藤哲也北海道医療大准教授は「海外の研究結果からすると、健康影響が出てもおかしくないほど高濃度の水銀が検出された住民もいる。健康状態や汚染の実態の詳しい調査が必要だ。水銀の汚染度が高い鯨肉の消費を減らす努力も必要だろう」と話している。
 グループは2007年12月から08年7月にかけて同町の男性住民30人、女性20人から毛髪を提供してもらい、水銀濃度を調査。毛髪の総水銀濃度は男性が21・6ppm、女性が11・9ppmで、日本人の平均値(それぞれ2・55ppmと1・43ppm)を大きく上回った。