武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 3月第3週に手にした本(14〜20)

*情けないことに書庫にあることを忘れて同じ本を買ったり、読んだことすら忘れて図書館に予約を入れたりするようになってきた。読んだり読みかけたりした本を備忘録としてメモ、週1で更新しています。

井上和男編著『改訂版クラシック音楽作品名辞典』(三省堂1998/2)*作曲家と作品名が確認できるクラシックのリファレンスのために必携本。確かめておかないと気が済まないことが増えてきたので手元に置くことにしたら、たちまち付箋だらけになってしまった。
橋本治著『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ上・下』(河出文庫1994/1)*79年の北宋社版を文庫化したもの、少女マンガ評論としては極めて初期のものだろう。橋本治の柔軟な口語体的文体が、少女マンガの表現世界に見事に同調しており、解説のレベル超越している。未読のマンガについては、ほとんど何を言っているか分からないほどに記述はオタクっぽい。原作を読んでからでないとその世界には入り込めないほど専門的な少女マンガの専門書。読み手を選ぶ本である。
マレーネ・ディートリッヒ著/福住治夫訳『ディートリッヒのABC』(フィルムアート社1989/1)*マレーネ・ディートリッヒ悪魔の辞典といったらお分かりいただけるだろうか、彼女が単なる銀幕のスターや歌手だけではなかったということを教えてくれるアフォリズム集。どのページを開いても上品で鋭い機知が溢れ出てくる。ディートリッヒの映画を改めて見直したくなった。
士郎正宗著『攻殻機動隊』(講談社1991/10)*SF映画の傑作、ブレードランナーマトリックスをミックスしたような独特の未来社会を仮構したSFマンガ、一話完結の短編連作スタイルで全10話が収録されている。表出のテンションが高く、読み疲れする。同名のアニメに世界観とキャラクターを提供した原型。
士郎正宗著『攻殻機動隊』(講談社2001/6)*前作攻殻機動隊1の続編ではあるが、おなじみ公安9課を舞台にした物語ではない。草薙素子という同一のサイボーグが主人公だが、主な闘いは電脳世界、カラーページが増えて絵はより美しくなったが、描かれている世界は何故か厚みを失い奥行きが乏しくなった気がした。