武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 7月第2週に手にした本(9〜15)

*情けないことに書庫にあることを忘れて同じ本を買ったり、読んだことすら忘れて図書館に予約を入れたりするようになってきた。読んだり読みかけたりした本を備忘録としてメモ、週1で更新しています。(今週もたくさんの本を手にしたが全部読了できたわけではありません。

岸田今日子編/和田誠装画『いどの中』(書肆山田1981/6)*シリーズ日本のライト・ヴァース3、個性派女優の岸田さんが選び出したライト・ヴァース、見事な彩りに感心した。選者によってかなり趣が違ってくるのが、ライト・ヴァースの楽しいところ。あとがきに「どんなに好きな詩であっても叙情的な詩は入れないようにしよう」と思っていたとあるのが納得だった。何事にも例外はあると言うことである。
佐高信著『司馬遼太郎藤沢周平/「歴史と人間」をどう読むか』(光文社1999/6)*ある時期夢中になって読んでいたのに、今は全く読む気がしなくなった司馬文学についてふと気になることがあって手にした。藤沢周平との対比 で批判的に書かれており参考になった。
藤沢周平著『無用の隠密/未刊行初期短編』(文春文庫2009/9)*作家としてメジャーデビューする以前にマイナーな娯楽誌に発表された作品、完成度はいま一歩ながら、情景描写や場面転換に後の藤沢の原型を見る思いがして興味深かった。
林哲夫著『古本スケッチ帳』(青弓社2002/4)*古本好きによる古本随筆、前の週に読んだ1作目が楽しかったので2作目を手にした。この著者の本の世界への のめり込み方は半端ではない。とても真似は出来ないけれど面白い。
田村隆一著『田村隆一全集2』(河出書房新社2011/2)*初期の衝撃的な作品以外、田村隆一の良い読者ではなかったことを痛感して今回この全集を手にした。燃え上がるような青年期以降の作品の穏やかで奥行きのある詩とエッセイが愉しみ。詩を書くことを意識しないでも、詩になってしまう天性の詩人の作品がこれほど大量に積み上げられていたとは。