武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 1月第4週に手にした本(21〜27)

*前回の雪がほぼ解けたかなと思っていたら、また少し夜間に雪が降ったけれど、軽く1センチ程度、次第に寒さに勢いがなくなってきた。心なしか日差しも強くなり、寒さも底をついたかなと言う感じしてきた。春遠からじか。

◎ミシェル・レリス著/細田直孝訳『夜なき夜、昼なき昼』(現代思潮社1970/8)*フランス・シュルレアリスムに関連する基本的な文献の一冊、シュルレアリスム運動では想像力を開放する方法の一つとして夢を重視したが、本書は著者の40年ちかくの長期間にわたる夢の記録集。克明な夢の記述は、不思議な感触の読み物となっていて、文字通りシュール味わいがある、詳細な訳注と一緒に愉しむといい。

海外投資を楽しむ会著『ゴミ投資家のための人生設計入門』(メディアワークス1999/11)*やや古い本だが、著者グループがお気に入りで、古本として格安になっていたので手にした。経済面で人生を大きく縛る<不動産><生命保険><健康保険><年金>などの4つのテーマを新たな視点から分析、個人としてどう対処したらいいか、問題提起してくれるクールなハウツー本。情報として古くなった部分を割り引いてみても大部分が残る本質論が多い、若い人にお薦め。PDF版が出ている。

本の雑誌編集部編『本の雑誌』(本の雑誌社2012/10)*古本に関するネタを新旧取り混ぜてこれほど集めた本は珍しい。趣味実用書としては相当の売れ行きだったと言うのも肯づける。古本屋の存在意義を認め、古本が好きな人には必携の一冊。本の雑誌編集部の実力を再認識した。

◎大木正興著『室内楽のたのしみ』(音楽之友社1973/8)*室内楽という主題のもとに、大筋は時代的な経過を軸として、和洋の興味深いエピソードをつないで、室内楽の楽しみ方についてやさしく解説した啓蒙書。弦楽四重奏を中心に各種の三重奏と五重奏を抱き込みながら、多様な角度から室内楽について書かれており先を急がない穏やかな筆致が気に入っている。