武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 新たな生活空間の構築(1)


 予想していなかった事情により、空き家の売買契約が1ヶ月遅れて3月末になってしまった。ここ数年、山間部の水源地が外国人に購入され、有害物質などが投棄されると大変だということで騒ぎになり、水源地条例などを急遽制定する動きが各地で起きていた。その条例にまさか自分が購入を決めた土地が該当するようになるとは。

 それだけそこは山間部に入り込んだ僻地だということ、敷地に隣接して沢が流れており、そのために水源にあたる地域に指定されたのである。条例では、購入を届け出て1ヵ月経たなければ売買契約ができないという縛りだった。罰則規定のない実効性の薄そうな規制だが、引っかかってしまったものは仕方がない。という訳でやっと3月末になって契約成立、空き家の鍵を受け取り、荷物の搬入ができるようになった。もう空き家ではなくなったので、周辺環境に配慮してこれからは<山荘>と呼ぶことにしよう。
家屋の周りは地目が山林、落葉樹の雑木林が取り囲み、地面には至る所クマザサが生い茂り、日当たりの良い所ではポツリ ポツリと自生のカタクリが咲いていたりする。頻繁に野鳥が梢でさえずり通り過ぎる。滞在中には何度もウグイスがやってきてさえずってくれた。家の中はといえば、たくさんの虫の死骸がころがっていた。カメムシ、カマドウマ、アリ、テントウムシなどなど、ここは虫たちが主役の世界である。できるだけ野生と共存してゆきたいがどうなることやら。
(右の画像は山林でみつけたカタクリの花たち)


 しばらくは、自宅に溢れかえる蔵書の引越しで忙しくなりそう。そして山荘を快適な書庫に改造して、私的な図書室を作り上げること。まずは、何をするにしても準備が肝心、木工作をするための簡易工作台の製作が第一歩。そのために安価なコンパネをホームセンターで買ってきて、工作のための工作をはじめた。

 ネットで調べてみて驚いた。価格が手ごろなために自作を趣味とするサイトでは材料として、ツーバイフォーとコンパネは大活躍だが、コンパネには細かい規制があり、物によってはホルムアルデヒドが揮発するランクの低いものもあり、使用目的によっては注意が必要なことに触れているサイトはほとんどなかった。安く出回っている建材には、安いなりの理由があることを肝に銘じておこうと思った。
(上の画像はできたばかりの簡易工作台)