武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 新たな生活空間の構築(4)


 山荘での生活が少しずつ軌道に乗りはじめた。時間が許すかぎり現地に行って、あちらこちらを手直ししたり掃除したりして、何回か泊まってもみた。それでも現地に行けるのは週に1日2日程度、相変わらず現住所での生活の方も何かと忙しい。滞在時間が増えるにつれて、退職者のセカンドハウスとして、希望していたのに近い物件であることを確認できて安堵している。それにしても在来の和風建築の通気性のいいこと、縁の下にも屋根裏にも常に微風が流れている。高温多湿のこの国の夏季に対応して建物をいかに維持するかという工夫に満ちている。厳冬期の寒さ対策はどうなるのだろう。(右の画像はようやく完成した自作の作業テーブル、背後に見えるのは自作の道具掛け)


 家屋のまわりには比較的広い雑木林が広がっており、周辺の植生と比較してそこは珍しく落葉樹が多く自生している原生林となっている。おそらくここは、戦後のある時期、林野庁補助金を交付してスギ・ヒノキ等の植林を奨励して山野に針葉樹が一気に広がった頃、幸運にも伐採と植林をまぬがれて、原生の雑木林がそのまま残った場所なのだろう。野鳥たちが移動の際の休憩地点にしているのも何だか頷ける。林の相が明るくて、視界が広くて天敵の接近が分かりやすいのだろう。

 囲まれて暮らす林としては、夏には葉を茂らせて木陰をつくり 秋には紅葉落葉して冬には裸樹となって明るい林床をつくる 落葉樹林が好ましいと思っている。育ちかけている常緑樹は少しずつ伐採して減らし、落葉樹を残すようにしていこう。


 暖かくなってきたので一雨降った後は、地面の様子が一変する。風と野鳥によって運ばれてきた種子が芽を出しみるみる育つ。何が生えて来るか知りたいので、安易に刈り取るのではなく、著しく美観を損ねない限り黙って見守ることにしている。じきに土の出ている地面という地面は、雑草に埋め尽くされることになるに違いない。

 すでに玄関にたどり着くための、我が家でしか使わない砂利道の中央部の草が、車の下を擦るようになってきて、タイヤが通る二本の轍だけが地面を見せている。今はタンポポの花に車体の腹を擦られながら出入りしている状態、誰からも文句が出るわけではないが、そのうちに堪りかねて草刈をせねばなるまい(苦笑)。