武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 新たな生活空間の構築(8)


 上水道の飲み水について書いていて、では山荘の下水処理の方はどうなっているのか気になった、売買契約時に受け取った書類を改めてめくりなおした。災害時の避難生活で一番問題になるのは、飲み水をどうやって確保するかと、糞尿などの排泄物処理と生活排水をいかに処理するか、この二点をどうするかである。いずれかでトラブルを抱えると、生活の質以前のところで、すべてが根底から崩れてしまいかねない重要な問題である。
 仲介業者や売主から聞いていたことでもあるが、山荘の排水処理はいわゆる合併浄化槽方式となっており、処理能力は10人分の大容量、河川への排水ではなく敷地内での土壌への浸透式、その結果普通に水洗トイレが使え風呂やシャワーや台所が使えるようになっている。敷地のすぐ横を流れている沢には放流していない。水源地での汚水処理としては当然のことだろう。
 浄化槽の基本的な構造は、まず排水管から流れ込んでくるすべての汚水を第1の沈殿分離室で嫌気性の微生物の力をかりて沈殿分離、さらに嫌気性の微生物により第2室で分解処理を続け、つぎに第3室で好気性の微生物の力をかりてさらに分解濾過、この汚れを取り除かれた処理水を最終的に地下浸透して処理しているという仕組み。
 法的には環境保全と衛生処理を目的にした浄化槽法により管理されており、処理水は「BOD除去率90%以上、放流水のBOD濃度20mg/L以下」に浄化されたものでなければ環境中に放出できないきまりになっている。
 当然のことではあるが、この浄化槽の機能を維持管理するために、所有者は専門業者に依頼して最低年1回の法定点検と、使用状況に応じた保守点検を義務付けられている。下水道が整備されていない地域で生活してゆくには、最低でもこのようなコストがかかることを再認識した。