武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 新たな生活空間の構築(7)


 山荘に滞在する時間が増えるにつれて、生活のいろいろな場面で蛇口から出てくる水道水を使う機会も多くなり、少しずつ気づいてきて今やはっきりとした実感になってきたことがある。水道水の品質がとてもいいということがそれ、要するにお茶を淹れてもコーヒーを淹れても何だか美味しいのである。もちろんそのまま飲んでも口当たりが柔らかくてスッキリとしている。
 そう言えば山荘を購入するという段階になって、水源地域保全条例にひっかかって1ヶ月契約が保留になった経緯があったことを思い出した。山荘が立地する山林が、行政指定の水源地に当たっていたのである。その後、周辺を散策をかねて歩き回ってみると、確かに水源浄水場や配水場などの水道関連施設をいくつも見かけた。
 山麓に降った雨水が地下浸透し、長い時間をかけて地下水脈となり、河川を流れる水とは別ルートで地下水として移動して、水源となり採水されているのである。行政の水質検査では水質がいいことがわかり、最近ではペットボトルに詰めて天然水として売られているらしい。
 自慢話になって恐縮だが、それでもやはり水が良いということは、そこで暮らす者にとってうれしいことである。現住所の水道水が残念ながらあまり質が良いとは言えない状態にあり、塩素臭を除去するのにいろいろと工夫してきたことも思い合わせると、なおさら水の良さは有難い。
 水道局のHPを見ると「市の浄水場は、深い井戸(平均100メートル)からくみ上げた、きれいな水のため濾過池は殆んど必要ありません。」などという首都圏の水道関係者がうらやましがるような記述が見つかる。現住所では、夏場に雨が少ないと渇水が話題となり、給水制限が行われることも珍しくない。水不足からの避難場所(笑)が出来たと言ったら言い過ぎかもしれないが、これは悪い話ではないという気がしている。