武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 新たな生活空間の構築(10)


山荘が和風建築というのか在来工法というのか伝統的な古い木造の建物なので、
屋根裏と床下の通風がよくて、いつもさやさやと微風が流れていることは以前に書いた。
ところがこのところの多湿な梅雨シーズンになって周囲の雑木林が湿ってくると、
そのまま室内も湿っぽくなってきた。
風が吹いても湿度の高い風が吹く。


驚いたのは2泊目の夜、使っている寝袋が湿っぽくて、とても不快な状態になっていたことだった。
日中に湿度計をみていて80%から90%をさしており多湿なことはわかっていたのだが、
気温が20度程度で過ごしやすく、さほど気にしていなかった。
寝袋が湿気ていたのには吃驚、仕方がないのでそのまま寝てしまったがその時、対策の必要性を痛感した。


 調べてみたら畳の和室の構造は、畳の縁が床下と接触しており、押入れの天井が屋根裏につながっており、見事に通気性が確保されている。つまり和室は構造的に換気口を通して外気とつながる仕掛けになっているのである。機密性はほとんどないといった方がいいだろう。外が湿れば中も湿るはずだ。鉄筋コンクリート造りのマンションでも換気口はついているがありえない構造である。


 ところがフローリングの洋間では、その通気性が押さえられ、部屋の機密性が保たれている和洋折衷の仕掛けになっている。考えてみれば必要に応じて、同じ家のなかに通気性のいい部屋と機密性の高い部屋があってかまわない訳だ。前の所有者と建築家のアイディアはなかなか面白いと思った。


 そこで、湿度に弱い衣類や寝具などは高気密の洋間に移し、数時間、除湿機を稼動させて乾燥して、そのまま部屋を密閉しておくことにした。数時間で湿っていた寝袋もさらさらふかふかしてきた。そのかわり、除湿機の貯水タンクにはたっぷり1リットル以上の真水が収穫できた(笑)。


 移動した蔵書類もたっぷり湿気を含んでいるのだろうが、濡れているわけではないので、どれをとっても心なししっとりとしているような気がするが、変形したり膨らんだりはしていない。季節が移り外気が乾燥してくると蔵書もきっとそれに合わせて乾燥するのだろう。まずは1年間、人も物も様子を見るしかないと思っている。


 行った時に風を通しているせいか、今のところどこにもカビは発生していない。カビには有害な胞子を発散するものもあるので、カビだけは見た目もよくないので何としても発生させないように気をつけようと決めている。梅雨明けがいつになるか分からないが、当分の間、湿度との綱引きが続くことになるだろう、やれやれ。