武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 新たな生活空間の構築(18)


《標高470mで気付いたこと》

以前にも書いたことだが我が山荘は
標高が470mの位置にある。
1000mを超えるような真夏日のない高原地帯でもなく
歩いて海岸に行けるような海の近くでもない
なんとなく中途半端なところにある。
それでも海面から470mの高さに位置するということが
生活にどんな影響を与えるか
少しずつ分かってきたので中間報告をしておきたい。


(その1)期待していた通り、平地が猛暑日で35℃を越えていても
山荘の気温は、32℃が今年の最高気温。
都市部の平地より5〜6℃低く、なんとか
クーラーなしでも熱中症の心配がないことが体感できた。
朝晩は平地が熱帯夜でも少し肌寒いほどである。


(その2)炊飯に時間がかかったり
デンプン質の野菜が軟らかく煮えるのに時間がかかったり
パスタを茹でるのに時間がかかったりして不思議だったが、
紅茶やコーヒーなど100℃で抽出する嗜好品の味が違っていたりするので
標高のせいで沸点が低くなっていることに気が付いた。
標高300mで約1℃沸点が下がるそうなので
2℃ほど引いて、98℃で沸騰すると考えたら
多くの疑問が氷解した。
使用頻度がへっていた圧力鍋をひとつ山荘に移動することにした。


(その3)雨雲の高度については正確なことはわかっていないようだが
低い雨雲の底辺は200m〜300mまでの高度に下がってくることがある。
下界からみると山荘がある一帯が雲に隠れていることがあり
そんな時に山荘に着くと、いかにも雲の中に入ったという感じがある。
下界が雨でも降っていなかったり、
山を下っていったら雨が降り出したりして
雨雲の高度によって周辺の気象が変わることを何度も経験した。
雨雲の中で生活するのは新しい体験だ。


雲の中で暮らすことの負の一端を紹介したい。
それは極めて湿度が高くなるということ、
衣類や布団などすべてが湿っぽくなり
湿度計は90%をこえたところで動かなくなる。
除湿機を使ったり、布団乾燥機を使ったりしてしのいでいるが
サラサラした肌触りが好きな人にはやや辛い環境である。
雲の位置が高くなる秋冬が待ち遠しいが
そうなると今度は寒さが厳しいか(苦笑)。
「どこでも棲めば都」と言うが、適応するまでに少し時間がかかりそう。