武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 新たな生活空間の構築(25)


《山荘の薪ストーブ》

雑木林の小枝をチッパーを使って片付けてゆくと
3センチを超える太い枝や切り倒された幹の部分が残り
薪ストーブの燃料がみるみる増えてゆく。
そこで、今度は山荘で使っている薪ストーブを話題に。
(右の画像は山荘の薪ストーブ、空気の補給にドライヤーを使っている、後ろの薪は一束分)


若い頃、夏の北海道を旅行していた時、
みやげ物屋や旅館などで眼にした記憶のある
時計型のストーブが今でも作られていることを知り
早速ネットを介して手に入れた。
煙突もセットにして1万円以下で買える人気商品、
薄いステンレスで出来ているので軽くてどこにでも運びやすい。
付属の煙突が1mほどで短かったのでもう一本買い足した。
煙突には高温の排煙が浮力となって上昇気流をつくり
空気を自然循環させる大事な機能がある。


最初は焚き火もいいかなと考えたこともあるが
なかなか燃やし方が難しくどうしても煙らせてしまい
いつの間にか煙のにおいが染み付いて
髪の毛や服が燻製のように臭くなってしまうので
山荘では薪ストーブを使うことにした。


どんなに注意して点火しても
ストーブや薪、小枝が冷えている最初の数分間は
煙突から不完全燃焼を表わす青白い臭い煙が出てしまうのは仕方がない。
焚き付けが燃えてストーブの温度が上がり
煙突効果も強くなり燃え方が安定してくると
煙は透明な熱の揺らめきだけとなり気持ちよく燃えてくれる。


薪ストーブに太い枝や薪を補給しているうちに
子どもの頃に習った燃焼の三要素を思い出した。
可燃性物質(薪)、酸素(空気)、温度(熱)
この三要素のうち、十分な空気の補給と
ある程度の高温を維持することに注意していれば
燃焼は連鎖反応をおこして快適に燃え続ける。
これが意外と難しい。


一回の燃焼で二束の薪を燃やすことにしている。
木質からでる可燃性のガスが炎となって全部燃え尽きると
ストーブの中には大量の熾き火が残ることになる。
これこそが木に含まれていた炭素であり
樹木が光合成して作り出した木の骨格そのものである。


この熾き火の段階になると
煙も匂いも完全になくなり
熱がホカホカとでてくるだけとなる。
鍋をかけても煤けたりしないし
サツマイモやジャガイモを入れると
美味しい焼きイモができあがる。
煙突効果の必要もないので煙突は外してしまい
空気の補給と温度管理に気をつけていれば
室内に移して暖房器具(火鉢の代わり)として使える。


熾き火が完全に燃え尽きると
後にはほんの僅かばかりの白い灰が残る。
残った灰は山荘の雑木林の地面に撒いても害はない。