武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 新たな生活空間の構築(26)


《農産物直売場のたのしみ》


山荘で日数を過ごすようになって
周辺の農産物直売場の新鮮な野菜が
日々の楽しみになってきた。
農家が栽培し収穫した野菜が
市場を経由しないで直接売り場に並ぶので
流通経路をショートカットした分鮮度がいい。
スーパーに並ぶ野菜が少しお疲れのように見えて
気の毒になるほど(笑)。


何箇所か直売場を廻ってみて
その経営形態に違いがあることが分かってきた。
その一つは、地域の農協が直営している
比較的規模の大きな農産物直売場、
品揃えが豊富だが少し価格が高いかな。


その二つめは、個人企業が設営して、
周辺の農家が協力して農産物を提供しているタイプの直売場。
経営者の判断で、置いてある品物が一番ユニーク、
お客の好みと一致すれば一番楽しめそう。


その三つめは、農協でも民間企業でもない
農事組合法人>が事業主体になっている直売場、
個人的には一番興味深い経営なので少し調べてみた。
コトバンクの説明が分かりやかったので以下に引用してみよう。

農業の協業化と企業的経営の推進をはかるため,
1962年5月の農地法および農業協同組合法の改正によって認められた
法人組織をとる農業経営体の一つ。
市町村内の同じ地域に住む5人以上の農家,
あるいは既存の集落組織が登記するだけで法人格を取得でき,
全面協業 (共同経営) ,
部分協業 (農業施設の設置・共同利用,共同作業) を行う。

この解説から伺えるように
農協が経営する農産物直売場とは少し感じが違い、
面白い商売をしていて興味深い。


売っているものはやや高原風の地域の農家が収穫した新鮮な季節の野菜や果物と
漬物や乾物など複雑な工程を必要としないシンプルな加工食品。
他には簡単な農具や精米サービス付きの玄米、山野草などの苗木その他。
買い物客は固定客が多いらしく
開店時刻から1時間以内に目ぼしい物はほとんど売れて
午後になると売り場の品数は寂しくなってしまう。


以上の三タイプの直売場で生鮮野菜を仕入れるようになってから
野菜の鮮度に対する感覚が変わった。
スーパーや八百屋の野菜売り場の品物のように
いわゆる市場を経由していないうえに
鮮度と味について陳列する農家同士の競争があるらしく
野菜の品質がとても優れているのである。
見た目に美しく味が良くて日持ちがするのである。
山荘の周辺で野菜を仕入れるようになって
食生活の質が以前と比べてワンランク上がったような気がしており
これが山荘を入手した最大のメリットかもしれない。