武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

《最近の野生の訪問者》


三月の下旬、気温も高くなり春の気配がはっきりしてきた頃
昨年と同じようにウグイスが鳴いていることに気がついた。
敷地の雑木林のどこからか分からないけれど
ウグイスのお気に入りの樹があるようだ。
去年は夏の終わりまで、ずっとウグイスが長期滞在して
見事な鳴き声が響き渡るのでずいぶんと癒された、
同じ固体かどうかは分からない。


最近はもう一つ、敷地を通り過ぎる猫たちが識別できるようになり
個体差も分かってきて少しずつコンタクトがとれるようになってきた。
多くは近所のお宅の飼い猫らしく人懐っこく
空腹の時などには可愛らしく鳴いておねだりをしたりする。
古くなった煮干を2〜3個プレゼントして新住民として
お近づきのしるしに代えたりしている。
危害を加えない猫好きの住人であることが知られてきたらしく
玄関の階段でゴロゴロ転げまわって遊んだりしてゆく。


飼い猫たちのほかに、一匹真っ黒い猫がくるようになった。
眼を瞑ると全身黒い塊にしか見えなくなるので
クロちゃんと名付けたその猫は、非常に警戒心が強く
どうみても飼い猫ではなくて野良猫としか思えない。
その真っ黒な野良猫にも、挨拶代わりに煮干をあげたら
少しだけコンタクトが取れるようになってきた。
全身にトゲトゲに張り巡らされた警戒心が徐々に解除されて
一歩ずつ距離を縮めてきている。
幼い頃から野良猫暮らしだったらしく鋭い警戒心の塊で
鳴き声で人間とコミニュケーションをとるも知らない、
無言で警戒心のよろいを少しずつ外してゆく様子が
何とも健気でいじらしい。
(画像は警戒のあまりカメラ目線になってしまったクロちゃんの表情)


山荘に来る猫たちは平和主義者が多いらしく
ニアミス状態になっても喧嘩はおこらず
いろいろなやり方で戦わないで場所を譲り合う術を心得ている。
ある日、キジの雄と遭遇してハラハラしたけれど
キジも相当に強いらしく平然と猫を無視して通り過ぎ、
何事もなくてホッとさせられた。


これから沢山やってくる野鳥たちにとっては、
猫がうろつく雑木林は剣呑かも知れないが
大木の高い位置で高らかに囀っているのを見ると
高さで上手く棲み分けているのだろう。
暖かくなってイノシシの足跡を見なくなった、
草木が育って食べ物が豊かになってきたので
山奥の方に帰っていったのかも知れない。