武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 新たな生活空間の構築(47)


ニホンタンポポに味方するイキサツ》

前回、蔓性の植物、葛に対する
駆除の決意(笑)のようなことを書いた。
今回は、敷地に自生しているタンポポを話題にしてみたい。


今年も、ようやく冬が終わり寒さが一段落して日差しの暖かさを感じ始めた頃から、
ロゼットの形で寒そうに越冬していたタンポポたちが
地面すれすれに首をすくめるようにして鮮やかな黄色い花をつけ
けなげだなと感心していたら、あっという間にロゼットはふさふさとなり
花は背高く伸び上がり茎も太くなり 猛々しく雑草の本性を現し始めた。


気になったので、敷地に生えているタンポポのうち
ニホンタンポポセイヨウタンポポの分布を調べてみたところ
何とニホンタンポポは一株見つかっただけで
その外は全部セイヨウタンポポ、圧倒的に優劣の差があった。
(画像は、上がニホンタンポポ、下がセイヨウタンポポ、花の下の部分に注目)


現住所の近くにある航空公園へ散歩に行った折、同じように調べてみたところ
やはりセイヨウタンポポの優位は圧倒的だった。
運動公園になっている環境的に厳しいかなと思われるところなどでは
ニホンタンポポは皆無、セイヨウタンポポ一色になっていた。


これほど優劣に大きなひらきができているのには
何か説明可能なはっきりした理由があるはずと、
早速、手持ちの植物関連の本とネットで
セイヨウタンポポの強さの秘密を調べてみた、
以下に分かったことを箇条書きにまとめてみよう。


その1 開花時期
ニホンタンポポは、3月から5月頃にかけて咲く。
セイヨウタンポポは、3月から10月頃にかけて何度でも咲く。
花の時期は長いほどサバイバルに有利なのは言うまでもない。

その2、種の大きさと数
ニホンタンポポは、少し大きめ(0.7mg)の種を一つの花で100個程度つくる。
数は、花によってずいぶん違う。
セイヨウタンポポは、比較的小さい(0.4mg)種を200個程度つくる。
もちろん軽くて数が多いほうが拡散に有利、
発芽能力はと言うと、少しでも養分を蓄えた重い種が有利。

その3、発芽の習性
ニホンタンポポは、地面の落ちても直ぐに発芽しないで
厳しい夏の暑い時期は、眠っていて秋になると発芽する。
セイヨウタンポポは、地面に落ちるとすぐに発芽し始める。
どちらも暑さには弱いので、夏を越せないセイヨウタンポポは数多い。

その4、種をつくる方法
ニホンタンポポは、別の株から花粉をもらって受粉する。
昆虫が少ない環境では、受粉するのが難しい。
セイヨウタンポポは、単為生殖(単性生殖)も可能なので受粉してもしなくでも種ができる。
ということは、開発がすすんだ厳しい環境でも強く生きられるということ。

この他にもセイヨウタンポポの強さの秘密は
専門の研究者によって幾つか明らかになってきているようだが
以上でも大体のことは分かる。


見分け方は、我が家ではセイヨウタンポポ
花を直ぐ下で支えている総苞外片(そうほうがいへん)が反り返って
荒川静香さんがイナバウワーしているみたいなのが
セイヨウタンポポと判断することにしている。
最近ではニホンタンポポとの雑種もふえてきているそうだが
この特徴でセイヨウタンポポの遺伝子が含まれているかどうか直ぐ分かる。


最後に、敷地内に広がりつつあるセイヨウタンポポをどうするか、
やはり弱い者に味方する判官びいきと言うか、
それとも種の多様性を守るためと言おうか、
我が敷地内では、絶滅の危機に瀕している
ニホンタンポポを保護していくことに態度を決めたという次第。
取りあえず見つけ次第、セイヨウタンポポは根っこから引っこ抜いて
処分することにしているのであります。


頑張れ!ニホンタンポポ